2013.05.13

5月のことなど

 もろもろ告知が後手後手になってしまっててんやわんやで新聞やラジオはもう間に合わなったけれど、ごめんやす。いくつかまとめて駆け足でー!

Frau201305「FRaU」5月号「愛の夢とか」についての著者インタビューが載っております。読み応えあるヴォリュームです、よかったらぜひお手にとってくださいませ。

Bungeisyunjyu201306「文藝春秋」6月号、資生堂の広告ページに、コメントと写真が掲載されています。撮影はアラーキー。すてきな一枚になりました。アラーキー!

Dress201306「DRESS」6月号にインタビューが掲載されています!こちらもぜひ!

◯そして東京メトロのフリーペーパー「TOKYO METRO NEWS」でエッセイの連載が4月号から始まっております。バックナンバーはこちらで読めるはず!月に一回、移動のお供にどうぞよろしゅうお願いします。

◯ノルウェイで「乳と卵」が刊行されるのですが、それに先立って「Bokvennen」という雑誌でちょっとした特集が組まれた模様です。数ページにわたっての作品解説やわたしのインタビューも掲載されております。表紙と誌面はこんな感じ……レイ・ブラッドベリとノルウェーの作家のアスラク・ヌーレに囲まれております。「乳と卵」は、たしかいまのところ9ヶ国語に翻訳されていて、日々広がりを感じてうれしいことです。今後も取材が続きますので、そちらもまたお知らせします。

Kawakami_mieko_bokvennen01 Kawakami_mieko_bokvennen02

「Electric Literature's Recommended Reading」というサイトに英訳「バナナフィッシュにうってつけだった日」が掲載されております。こちらでは短篇小説を紹介していて、登録している読者にメールで通知されるみたいです。10万人以上の登録者がいるみたいで、小説が毎週どばっといっせいに送信されるのって、なんだか不思議ですよね。って、お知らせが届くわけで、小説が送信されるわけじゃないか。


どうぞよろしくお願いします!!追加ぶんはまたすぐに!


投稿:by 未映子 02:16 AM [書籍・雑誌, 未映子情報] | 固定リンク | トラックバック (0)

2013.03.29

昼に夜に春がきたわ

いつかの馬車が春を撒き撒きにやってくる、ではなく、
巻き巻きにやってきた今回の春だけど、
みなさん桜はみたかしらん。わたしは一度、あるお昼間に近所に
低く、うわあっと広がる桜地帯へ行きました。

今日もお知らせがいくつかあります。


Ainoyumetoka●短篇小説集「愛の夢とか」が刊行されました。
わーい。講談社の特設ページはこちらです!
収録した作品はこれまで発表したきたものの中からムードとトーンが合うものを選んで、ぜんぶで7つ。
「アイスクリーム熱」「愛の夢とか」「いちご畑が永遠につづいてゆくのだから」「日曜日はどこへ」「三月の毛糸」「お花畑自身」「十三月怪談」というならびになっています。
これから出産を迎える若い夫婦、ピアノを弾く老女と主婦、生き残った夫と幽霊の妻、家を奪う女と奪われる女……ここに収められた短編は、どれも「ふたり」の話です。
孤独の最小単位は「ひとり」ではなくて、じつは「ふたり」なんじゃないかといつも思っていて。
ふたり、という関係だけがもつ、どうしようもなさと、よろこびが、
日々の中でどんなふうに行き来しているのか、それぞれがどんなときにどんな風に発光するのか、
それが人や景色をどんな風に照らすのか、その詳細を書きました。
楽しんでもらえたら、うれしいです。

装丁は名久井直子さん、そして挿画は前田ひさえさん
淡いなかにもくっとした色たちの花々、
そして銀色の箔押しが繊細でとくべつで、またもや、またもや素敵な一冊になりました。
どうか手にとって、触ってみてください!本当に素敵です。
どうぞよろしくお願いします。

そして、「愛の夢とか」の刊行を記念しまして、サイン会をいたします。
やったー!大阪ひさびさ。

東京 4月12日(金)19:00~ 丸善丸の内本店
※丸善丸の内本店の予約はいっぱいとなりました。ありがとうございます。

大阪 4月28日(日)14:00~ 紀伊國屋書店梅田本店
※紀伊國屋書店梅田本店も予約はいっぱいとなりました。ありがとうございます。

いずれも要予約、先着100名様です。
予約はもうはじまってるのかな、どうぞよろしくお願いします!


●『現代詩花椿賞30回記念アンソロジー』刊行記念トークイベントに参加します。
お相手は小池昌代さん穂村弘さん。くわしくはこちらで!
「うたのことば ことばのみらい」というタイトルで、詩や散文だけでなく、「歌」についての話もたくさんできそうです。いま準備していますが、これまでにないイベントになりそうで、すごく楽しみ。
ぜひふるってご参加くださいませ。


Union03「Union #3」鈴木親×川上未映子、ホンマタカシ×水原希子、奥山由之×PRADAなどなど、国内外のフォトグラファー、モデル、クリエイターによる、ものすごく豪華でラグジュアリーなファッション誌です。すべてのページに夢みたいな時間が流れ、そして保存されております。
とても素敵な写真を撮っていただきました。ポップで長めのインタビューも掲載されております。洋服は今季いちばん気になっていたシャネルのドレス、クロエ、もろもろ。ぜひお読み下さいませ!


Jyoryuubunngakunocyouryuu「女流文学の潮流」に寄稿しました。多くのアカデミシャンにまじって(というか巻頭なのでまじってはないのだけれど(汗))、ともすれば牧歌的な、しかし切なる現場の懸念(ちょっとだけ金麦檀れい問題もからめて)などなどについて書きました。ぜひ、お読みくださいませ。


Frau201304「FRaU」ただいま発売中の4月号に寄稿しました。
暮らしとキレイ、がテーマの今号、これからのキレイはどのようにキレイとなりキレイはどのように維持されるのか、などなど、キレイについて、もう誰もが飽き飽きしている精神論ではない身も蓋もないけれどしかし真実だと思うことについて書きました。どうぞよろしくお願いします。


●先日、「NHK短歌」の収録にでかけました。
本年度、4月からのご担当、斉藤斎藤さんの第一回のゲストに呼んでいただきました。短歌は好きだけれどついぞ一首も完成させたことのない短歌音痴のわたしですが、斉藤さんとみなさんが投稿された色々な歌を楽しみ、そして後半では斉藤さんとともに短歌制作にちょっとだけかかわるという、とても刺激的なひとときを過ごさせていただきました。やー、短歌って何がどうなってああなるんだろう。放送日は少し先だけど忘れないように4月14日。再放送などもぜひチェックしてみてくださーい。


●六本木ヒルズ・森美術館10周年記念展「LOVE展~シャガールから草間彌生、初音ミクまで」
シンポジウムに参加します。展覧会の全容、詳細はこちらで!
わたしはセッション1、「愛がもたらす深い闇」に出席します。
お相手は信田さよ子さん
このときがいよいよやってきた!という感じで、
信田さんとお話することを、いまからとても楽しみにしています。
どんな内容になるのかな、みなさんぜひいらしてくださいね。
シンポジウムじたいはまだ先ですが、
申し込みは3月29日の11時00分からになっておりますので、よろしくお願いいたします。

日時:2013年6月30日(日) 13:00-17:30
会場:アカデミーヒルズ タワーホール(六本木ヒルズ森タワー49階)
定員:300名(要予約)
料金:一般2,000円、MAMCメンバー無料
主催:森美術館、アカデミーヒルズ


それではみなさまよい一日を!(いまが夜だったとしてもよ)


投稿:by 未映子 03:56 AM [書籍・雑誌, 未映子情報] | 固定リンク | トラックバック (0)

2013.03.13

春のお知らせ、もれもれ分

Ansinmoufuおととい告知しました3月30日の「安心毛布」サイン会は満席となりました、
みなさまありがとうございました。

で、色々と遅れておりましたもろもろのお知らせをば。
ただいま、レスリー・キーの写真にわたしが掌編小説を書く、というあんばいで、
<「LOUNIE」ファッション・コンプレックス>にて、コラボレイションをしておりまーす。
アートディレクターは「れもんらいふ」の千原さん。
第1回は「原色が着られない女」
Baila201303Nwoman201304年4回の予定です。WEBはこちら、そして「BAILA (バイラ)」3月号とか「日経WOMAN」4月号とか、いろんな女性誌にも出会い頭的に掲載されておりますので、
どうぞよろしくお願いいたします。


Davinci201304現在、発売中の「ダ・ヴィンチ」4月号の「本を贈る」特集で、
雪舟えまさんの「タラチネ・ドリーム・マイン」を紹介しています。
摩訶不思議とか妄想とか想像力とか幻想とか奇想天外とか少女力とか、
そういう言葉でもってかたられる物語はたくさんあるけれど、
わたしはここに収められた雪舟さんの短編を読んで、
馴染みのあったそれらの言葉、そしてその言葉が意味するちからに、
まるではじめて出くわしたような気持ちになりました。
うす青い炎に包まれた登場人物の名前は「クロージョライ(close your eye)」。たまらんね。

ともにゆくこの景色は
おろし金のようなものだ
わたしたちは命を削りながら
通り過ぎる

これは「電」からの引用。
誰に通りすぎてゆく景色や時間のことを「おろし金」と言えただろう。
ぜひ、ぜひ読んでみてください。

投稿:by 未映子 11:23 PM [未映子情報, ] | 固定リンク | トラックバック (0)

2013.03.11

これであなたも安心毛布ァー

みなさんおこんにちは。
すっかり春です、目や鼻の粘膜の鈍いわたしも、きのうは少し痛かった。
今日は「安心毛布」のご案内です。
ヨリモで連載しておりました「発光地帯」の3巻目、完結編がこのたび刊行されました、わーい。
連載分に加えまして、この2年ほどにいろいろなところに寄せましたエッセイを、ほぼまるっと収録、
書き下ろし「お料理地獄」を合わせて一冊にいたしました。
しかしこれはあくまで「食のエッセイ」、スパゲティしか作らんくせに何が食のエッセイか!
そんなことゆうて恥ずかしないんか、とお叱りを受ける気まんまんだった1冊目、2冊目からじつはわたしはものすごい成長を遂げ……たわけでもなんでもなく、あいかわらず、誰にでも作れる、ただただふつうの食事を作っているのだけれど、新登場のメニューもいくつかあって(わたしが初めて作ってみた、というだけで何のオリジナリティもないのだけれど、)しかし、なんとかふうふう生きております。
そしてタイトル、安心毛布
「36歳やけどわたしが欲しいわ!」という、
カラッカラに渇いたわたしのささくれだった心の叫びであります。詳しくはあとがき、あるいは「お料理地獄」でその渇きぐあいをお確かめいただければと思います。。。

装丁は、発光地帯シリーズをぜんぶ手がけていただいた浜田武士さん。
羊もかわゆく、文字組もとてもすき。
三冊を並べてみると、甦ったり甦ったりしないもので、なかなかいっぱいなのだった。


Haxtukoutitai       Mahouhikou       Ansinmoufu


「安心毛布」の刊行を記念いたしまして、サイン会をすることになりました。
くわしくはこちらでよろしくお願いいたします!
みなさまにお会いできることを楽しみにしております。

今日は寒いけどやっぱり春で、
春は短いので一瞬くらい、ちからをこめてつかまえよう。


※サイン会の予約はいっぱいとなりました。ありがとうございます。
『安心毛布』サイン会

2013年3月30日(土) 15:00~

紀伊國屋書店新宿南店6階コミュニティガーデン

参加には整理券(先着100枚)が必要です。

お電話でご予約をお受けいたします。当日までに新宿南店3F カウンターにて書籍代金をお支払いの上、商品と整理券をお受け取り下さい。

ご予約電話番号: 03-5361-3301(新宿南店代表・音声自動応答2番)
※当店に繋がる他の電話番号にかけられても整理券のご予約は承れませんのでご注意下さい。
※間違い電話が頻発しています。上記の電話番号を今一度お確かめの上お掛け下さい。
※イベントに関するお問い合わせも、上記の電話番号までお願いいたします。


投稿:by 未映子 10:59 PM [未映子情報, ] | 固定リンク | トラックバック (0)

2013.01.26

冬の日も釣瓶落とし

先日、お伝えしました国際文芸フェスの詳細でーす。
わたしは初日の東京大学と六本木アートカレッジ、ふたつのプログラムに参加します。詳細はこちら。ひとつめは対談、ふたつめは座談、といったあんばいで、当然ながらこれまでにない感じの組み合わせ、どんな話になるのかいまから楽しみにしております。
会場も大学やカフェや電車や都内で色々と散らばっていて、それぞれの場所の雰囲気も楽しめそう。
すべてのプログラムの申し込みが始まっているみたいですので、
この機会にみなさま、ぜひご参加くださいませ!


そして、こちらはもう申し込みが終わってしまったのですが、参加することになりました(わたしの参加は申し込み期日がすぎてから決定しました)。去年、ゲストで呼んでいただいた高橋源一郎さんがナビゲーターを務めるNHKラジオ「すっぴん!」の東北大学での公開収録でございます。このイベントは、NHKが続けている震災サポートプロジェクトの一環で、今回のメンバーは、高橋源一郎さんと、穂村弘さん。テーマは「震災と文学」です。当日、ご参加くださいますみなさま、どうぞよろしくお願いします! 放送は3月1日です。

朝も昼も起きているのに、気がつくと夜なのはどういうわけなのだろう。



Tokyolitfest

投稿:by 未映子 08:56 PM [文化・芸術, 未映子情報] | 固定リンク | トラックバック (0)

2013.01.19

1月も半ばを過ぎて

すっかりご挨拶が遅くなってしまいましたが、
みなさま新年明けましておめでとうございます。
今年もどうぞよろしくお願い申し上げます。

年末から年明けにかけて書くことがそれなりに沢山あったはずが、
一日一日を乳幼児とともに生きているとはっきりした言葉の出番というのがあまりなく、
時空のスポンジめいたところのどこかに吸い込まれて、何もかもの一切が流れていってしまうこの感じ。
そんなだから気がつけばいつも夜で、そんなことをくりかえしているとあっという間に一週間が折りたたまれ、週刊誌の連載エッセイや小説などを書いていると書き言葉はそこに集まり、けっか、このブログまではなかなか辿りつけないことになって、そして今日も告知をば、とこういうことになって、
これはこれであかんことよね。

ただいまの資生堂「花椿」に、穂村弘さんとの対談でお邪魔しております。
写真はアラーキーだよ。「もっと穂村さんを追い詰めてください」とか「あのつづきはどこで読めますか」などなど、対談を読んだ編集者や読者のかたから訊かれることが多く、なんだかご好評いただいているみたいで何よりです!対談でも触れている「穂村弘問題」は、長寿CM「金麦~檀れい問題」とわたしの中では地続きかつ目下懸案のひとつであり、ねちねちと考えておりますのでこれもいずれどこかで話などしたいところ。。。

お知らせその2
こんなシンポジウムに参加しまーす。
3月1日~3日「国際文芸フェスティバル」
豪華かつ重要な催しになりそうですね。
詳しくはこちら!プログラムが決まったら、またお知らせいたしますね。

そして去年の9月に上梓しました詩集「水瓶」が第43回高見順賞を受賞いたしました。
一冊目の詩集から連綿とつづいていたイマージュとの決別でもあったこの詩集が、このようなかたちでまた新たな読者に出会えるかもと思えばうれしさもひとしおであります。「戦争花嫁」収録できて、よかったなあ。思えば「戦争花嫁」の最初の4行に、わたしが詩を書くことの原因がぜんぶ書かれてあるように思えてしまう。ほんとうに、ありがとうございました。

そして第148回芥川賞を受賞した黒田夏子さんの「abさんご」の帯に文章を寄せております。
こちらは去年、共同通信に寄稿した書評からの引用文なのですが(芥川賞に決まる前の帯ですから、もしかしたらみなさんがお手にとられる本にまかれている帯とは違うかもしれませんが)、わたしにとっても非常な悦びを与えてくれたとくべつな一冊なので、多くの人に「abさんご」が読まれ、あの感触がしみわたるのだと思うと、愉快で、うれしくて、なんだか目の奥が明るくなります。おめでとうございました!

さて、2007年に初めての小説を上梓してからまる5年が終わりました。
まだ5年、もう5年というか、毎日何かを書いているけど、まだ何にも書いていないような気持ちにもなるし、いずれにせよ書きたいことばかりが積もってゆく日々です。小説の場合は準備のための時間がかかり、また書くのにも時間がたっぷりとかかるほうなので、これからの予定をただ漠然とでも頭に浮かべるだけで10年があっというまに過ぎてしまう。
そう思うとあれこれ不安になったり焦りもするのですが、今は、日々ものすごい勢いで変化し大きくなってゆく赤ん坊のいちいちを見逃すまいと、一回きりのこの数年をしっかり見届けるのだと、それを中心に生活しようと思っているので、なかなか思うように進まないことが多いけれど、ひとつひとつ、かたちにしてゆけたらと思います。
……しかしそうは言っても、なぜか今年もいろいろ本が出る一年になりそうです。
「乳と卵」がフランスに続いてノルウェーで刊行され、「すべまよ」「ヘヴン」もフランスで刊行される予定です。3月には、ヨリモで連載していたコラム「発光地帯」の完結編が刊行される予定もあり、さらにHanakoで連載している「りぼんにお願い」も、いよいよ単行本になりそうです。
さらにさらに、この5年間に発表した短編小説から(けっこうあるのだよな)、ムードとトーンの合うものを選びに選んで加筆修正を施した、はじめての短篇集も刊行されます。なので、春にはお目にかかる機会が増えるかもしれませんが、そのときはどうかよろしくお願いします。さまざまな詳細が決定しましたら、そのつどつどに、またお伝えいたしまーす。

そうだ、20日の読売新聞の「本のソムリエ」にも寄稿してます!よかったらお読み下さいませ。

そういえば今年のお雑煮は成功し、なんのことはない、鶏ガラは二時間煮るだけでよかったのだった。
いまだにときどき ドサっと雪の落ちる音がして、慣れないのでドキっとするね。
製氷機の音が世界級の腰骨の折れる音なのに比して、雪はいったいなんやろな。
それではみなさんよい夜を!


投稿:by 未映子 02:45 AM [書籍・雑誌, 未映子情報] | 固定リンク | トラックバック (0)

2012.12.31

さらば2012年とか

あっいうまに一年が終わろうとしておりますが、みなさまどんな一年でしたか。わたしはあんまり覚えてませんで、嬉しいことと悲しいことがものすごく起き、しかし基本的には、色々なことがいっぺんに起きた長い一日のような、ほのかに暗くてどこまでもしあわせな、なんだか誰かの夢のような一年でした。

勘三郎さんが亡くなって、週刊新潮のほうに文章を書いたけれど、あちらは字数の制限もあるし、こちらでも勘三郎さんのことしっかり書いておこうと思えば思うほど、なんだかずっと、ぐずくずしております。
勘三郎さんのお人柄やその素晴らしさは、それはもうみなさんに伝わりすぎるほど伝わっていると思うし、それだけじゃなくて、勘三郎さんと話した身体と言葉をめぐるいくつかの話を記録しておきたい気持ちがあって、そういうことを書いておきたいのだけれど、なかなか整理がつかずにいます。テレビとか雑誌とかで勘三郎さんがいないという報道にふれても、遺影とか見ても、ほんとに実感がないんだよ。

ぼんやりと鮮明に思いだすのは、さよなら歌舞伎公演を観に行ったときのこと。その夜は食事をご一緒する予定だったので、楽屋で支度をする勘三郎さんを待ちながらその日のお芝居の話をしていたらどうにも白熱してしまって、表の通路が閉まってしまい、誰もいない、もうすぐ取り壊されてしまう歌舞伎座のしんとした奈落を歩いて外に出たときのこと。
案内してもらいながら、勘三郎さんのこどもの頃の話をききながら、舞台を支える柱や機械がその体を支える──比喩ではなくてほんとに骨そのものを見上げくぐり抜けながら、もうすぐなくなってしまう体の中にふたりしているみたいな気持ちになったこと。何十年も降り積もった大鋸屑の色と手触りのこと。マイケルジャクソンとディズニーと勘三郎さんの踊りとの関連について話したこと。今度またゆっくり書きたい。


そして明日は、松浦寿輝さんのラジオ(『ミュージック・イン・ブック』NHK-FM 1月1日(火)午前11:00~11:50)にお邪魔しておりますよ。こちらは先日に収録を終えたのですが、たくさんした話からいったいどの部分が放送されるのかなー、と楽しみです。
仕事のときによく聴く曲、小説のテーマ曲めいたもの、おすすめの作品とそれに関連する曲などなど──文学と音楽についてのひとときでした。
わたしは今年の初夏からもうどうにもほとんど虜といっていいくらいにめろめろになってしまった黒田夏子さんの「abさんご」についてお話させていただいたり、勝手に「ヘヴン」のテーマ曲だと思っているある曲についてお話させていただいたりしております。なんか、しゃべりたいこといっぱいでわらわらとなってるはずですが、楽しんでいただけましたらうれしいな。

そして松浦寿輝さんの「川の光」に登場するタミー、のモデルというか実物のわんこちゃんがいるのですが、じつは数年前にちょっと遊んだことがあって、犬という生き物は例外なく可愛いといっていいくらいだけど、しかし彼女がもうこれがほんとにべらぼうにどこまでも可愛いのだよね。タミーがしゃべったら、あんなんやろな…グフグフ、って感じで「川の光」を楽しんで読んだけど、やっぱり本物に会いたいね。そう、去年の今頃は、実家で暮らしていた犬たちが相次いで亡くなったりしたのであって、いろんなことを思いだす大晦日。金色やにおいや手触りが何重にもなって手のひらに甦るのでどうしたものか。

そしてわたしはこれから、去年の今日にさんざんに失敗したお雑煮に再び挑戦する予定です。鶏のがらも買ってきたぜ。しかし小説家がふたりいる家には大晦日になっても年末進行のムードがなぜか消えず、たぶん明けてもそれは消えず、こんなのいつまでつづくのだろうと思うのだけど、要するに仕事が大好きなんだよね。こんなにずっと追われていることをやめないなんて、もうそうとしか思えない。
そしてわたしは今日の用事をすべて済ませたら夜、毎年恒例の、樋口一葉の「大つごもり」を楽しみたいと思います。

みなさま、よいお年をお迎えくださいませ。

投稿:by 未映子 10:34 PM [文化・芸術, 未映子情報] | 固定リンク | トラックバック (0)

 


純粋悲性批判