川上未映子

文学

2017.01.13

短編小説「シャンデリア」を書きました

 

 みなさまあけましておめでとうございます。今年もどうぞよろしくお願いします。わたしは年末も年始もないような状態で、まず第一に牡蠣にあたって地獄のクリスマスイブとクリスマス、過去にあたったのは牛肉のたたきで忘れもしない17歳のとき。二度とごめんだと思っていたけれど二十年後にかたちを変えてやってきた。牡蠣、大好きな牡蠣・生牡蠣。つるんとしててさあ、最高だよね。

 

 しかしほんとに辛かった。でも当然のことながら牡蠣を恨む気にはならないしなれない、これまでいい夢みさせてもらったのだもの。そしてきっとまたつるつると食べるような気がする。しかしこれって花粉とおなじ原理なのだろうか。つまり花粉というのは個人に花粉リミットみたいなものがあってそれがフルになると花粉症を発生すると。牡蠣もおなじなのだろうか。つまりわたしの牡蠣リミットはすでにいっぱいになってしまったのだろうかとかそういうこと。

 

 そして小説を書きました。短編小説で「シャンデリア」といいます。いつか書いておかねばと思っていた買い物小説というかデパート小説で、50枚くらいです。そして今回はデジタル配信というか、kindle single というかたちで発表することになりました。みなさんどうぞお読みくださいませな。しかし、大好きなデパートについて書き始めたのだけれど、なぜ、いつも、このような展開になってしまうのだろうかわからない。デパートだっつうんで色んなブランドがたくさん出てくるのだけれど、しかしこの小説の情熱の核は何と言ってもトム・フォードのアイシャドウ「ココア・ミラージュ」なんである。かつてこんなに、よくもまあこんなに素晴らしいアイシャドウがあっただろうかと思う真に素晴らしい逸品なんである、って何のことかわかりませんよね……どんな小説なのか続きはどうぞ本編で、よろしくお願いしまーす。

 こちらからよろしくお願いいたしまーす。

 

※「シャンデリア」は『ウィステリアと三人の女たち』にも収録されました。

 

 

 そして、年末から、またもや「日経Dual」でエッセイ「びんづめ日記2」の連載が始まっております!そしてご挨拶が遅れましたが、長らく連載してまいりました週刊新潮の「オモロマンティック・ボム!」も無事に完結し、このふたつに関しましてもまた、改めてご挨拶をば!

 

2016.04.30

12年ぶりのNY

  息子を連れて新幹線で大阪へゆき東京へ戻ってそのまま成田、NYへ。いけるんかこれ、と思っていたらわりに行ける4月の終わりかけるある日なのだった。時差ぼけで眠れているのか眠れていないのかわからなくてもNYはとても楽しい。今日も色んなことがたくさんあったけど、打ち合わせのあとニューヨーク大学でのセッションまでのあいだにMOMAに行ってドガを見た。写真撮ったらあかんよなふつう、と思っていたらみんなカシャカシャ撮っていたのでどきどきしながらわたしもドガ。

 

 

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 そしてワイエス……!

 

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  と、この日記を書き始めてからここまでで4日も経っており、なぜならば毎日忙しく夜遅くホテルに着き、そして時差ぼけが大変なのだからであって、こちらでの活動についてはまた後日……。新しいMac Bookも、難しいなあもう。キーボード、改行変換なれんなれん。

2016.04.12

春だった

 

 昨日の寒さにはびっくりしたけれどしかしたしかに春だった。ここ10日間ほどわりにひどい風邪をひいていて、治ったかなと思ったらぶり返し、それもおさまったかなと思ったら巻き返し、みたいな感じでじつに冴えない日々なのだった。しかしわたしの冴えなさをこころゆくまで楽しむ、ということはわたしの人生においてもう許されないのであって、難儀なことです。

 

 ただいま発売中の『Frau』5月号に、1万字インタビューが掲載されています!すごいヴォリューム、そしてポートレイトも載っております。ぜひ、お手にとってお読みくださいませ。

 

 そしてただいま発売中の『文學界』は新人賞発表号です。受賞作は渡辺勝也氏『人生のアルバム』、砂川文次氏『市街戦』。おめでとうございます。同号に、選評が掲載されています。

 

 先日、拙作『あこがれ』が、第一回渡辺淳一文学賞を受賞して、そのお祝いのお花が家にあふれていてわたしは本当にうれしい。なんという花のかわいさだろう。胡蝶蘭、ばら、ユリ、なにもかも。こうしてお花が盛り盛りと家に届くと十日間ほど至福の時間を過ごせるのだけれど、しかしみながいっせいに枯れてゆくさまはそれはそれでけっこう淋しいんですよね……写真は、大好きなル・ベスベさんのアレンジメント……!

 

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  そして映画『グレムリン』のご存知ギズモ……!知らないうちにこの映画が大好きな息子が撮っていました。ところでこのギズモって壮絶な絶壁頭で、撫でてると他人事と思えないんだよね。今度横から撮ってみます。

 

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 若いとき、桜は大変なものだった。今でもその理由はわかるけど、しかしこのあいだ猛烈に咲く桜の樹の下を車でくぐり抜けたとき、やられる感じはもうしなかった。この花の、どうもこの世のものではないような雰囲気を、時間の柔らかな底をすっかりさらって胸にそっくり移し変えるその手つきを、今やわたしは堂々と無視し、そしてうたた寝さえしてみせたのだ。

 

2016.02.29

NHK「英語で読む村上春樹」でお話したけれど

 昨夜、放送された「NHK第2ラジオ 英語で読む村上春樹」、こちらで登録すれば1週間お聞きいただけるそうです。 テキストは「眠り」、そして「TVピープル」

 3月5日(土)の午後0:10~0:40 に再放送もあるみたいです。聞き逃されたかた、もしご都合あえばぜひー。

 掲載情報とかその他もろもろ、ニュースページのほうで更新していますので、そちらもチェックよろしゅうです。

2016.02.05

米文芸誌「Denver Quarterly」、「Pleiades」 に詩と短編

 

 ちょっとまえになっちゃったけどアメリカの文芸誌「Denver Quarterly Vol.49」に、“The Elephant’s Eye is Burning, Burning”が掲載されました。「象の目を焼いても焼いても」という詩です。第一詩集「先端で、さすわ さされるわ そらええわ」に収録されています。

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 そしてさらにおなじく文芸誌「Pleiades」には、“Strawberry Fields Forever and Ever”が掲載されました。こちらは短編集「愛の夢とか」に収録されている「いちご畑が永遠につづいてゆくのだから」です。うれしいな。翻訳は由尾瞳さん。ぜひお手にとってみてください!

 

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2016.02.05

東京国際文芸フェスティバル2016 イーユン・リー × 川上未映子

 東京国際文芸フェスティバルが開催されまーす。初回、前回にひきつづき盛りだくさんの文学的なプログラム。

 

 わたしはイーユン・リーさんと対談します。モデレーターは翻訳家の小澤英実さん。詳細はみなさまこちらでチェックしてください。

 

 イーユン・リーさんの主要な作品はほとんどが日本語に翻訳されていて、わたしも愛読者のひとり。何から話そう、何について話そう、ここ最近わたしはそれについてよく考えています。

 

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 テーマは小説のヴォイスについて。中国からアメリカに渡り、そこから習得した第二言語で小説を書いている彼女。小説が、物語が書かれてゆくそのいくつかの 段階で、いったい何が起こっているのか、あるいは起こっていないのか。彼女にとっての中国とアメリカ、そして小説にとってのそれぞれ。いったい何が彼女に 書かせるのか。イーユン・リーさんと、この時期に創作についての話ができることは、わたしにとって本当に贅沢で重要なことだと思います。楽しみでなりません。当日は作品の具体的な内容について触れたいと思っているので、ぜひとも彼女の──ほんとは全部と言いたいところですが、短編集「千年の祈り」、最新長編の「独りでいるより優しくて」は、やっぱりお読みになって来ていただけるとさらに刺激的なひとときになるかと思います。どうぞよろしくお願いします。本 当にうれしい。本当に楽しみ。

2016.02.01

3月15日「あこがれ」朗読会 @本の場所

  朗読会は定員に達したため締め切りになりました。みなさまありがとうございます。なお、申し込みフォームには「申し込み多数の場合は抽選」と表記されていますが、今回は抽選方式ではなく先着順だった模様です。すみません。どうぞよろしくお願いいたします。

 

 しかし寒いですね。でも今日はちょっとましですね。最近一日2回とかスパゲティ食べてます。

 

 まだ少し先ですが朗読会をします。これまで対談や講演のなかで自作を読んだり、読書フェスや何人かでする朗読会には参加したことはありましたが、単独で朗読会、というのは初めてのような気がします。いや、気がするんじゃなくてきっと初めて、ですたぶん!

 

 外観はこんな感じらしいてです。本という字が大きいね!お申し込みは&詳細はこちらで! 少人数でいっぱいになってしまうそうなので、早めのお申し込みをおすすめいたします!

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 開催名は「あこがれ」朗読会となっていますが、何をどんなふうに朗読するかはこれから考えたいと思いまーす。そういえば2011年の春、水戸芸術館でピアニストと一緒に朗読する予定だったのだけれど、そのときは「誰もがすべてを解決できると思っていた日」というホットケーキをとにかく家族で焼いて焼いて塔になるまで積み上げて登ってゆくという詩を、舞台でホットケーキを焼きながら読むはずだったんですよね……地震で中止になってしまったのだけれど、そしてだからといって今回ホットケーキを焼くわけじゃないけれど、みなさまどうぞいらしてくださいませな。朗読、朗読かあ……難しいよね。緊張します。会場の「本の場所」には、河鍋暁斎をはじめとする江戸絵画が多数所蔵&展示されているらしくて贅沢なひとときになりそうです。みなさまどうぞよろしくお願いします。

2016.01.22

ENGLISH、そしてグレムリン

一月も半ばを過ぎて、焦るわね。みなさまいかがお過ごしでしょうか。わたしは毎日せっせと生きております。

このサイトの上のところに新たにメニューバーができておりまして、今後、いろいろと充実させていく予定ではあるのですが、とりあえず今回ご覧いただけるのは<ENGLISH>で、これは何のことかというと海外での活動についてのページなのです。主に海外からの問い合わせのためのページなので、読者のみなさまにはちょくせつ関係のないことではありますが、いちおうお知らせをばー。

秋ごろから数ヶ月にわたって息子がどはまり&夢中の映画は「グレムリン」! もちろんタイトルとパッケージだけは知っていて、わたしは去年初めてこの映画を観たのだけれど、こんなに、こんなに!……どきどきわくわく激烈素敵な映画だなんて、もうまったく、まったくもって知りませんでしたわ!「グレムリン」についてはまた今度……。

このあいだ帰阪したら、中学1年の甥っ子(ときどき冴えたことを言う甥っ子としてエッセイにもちょこっと登場していた)の身長が176センチになっていて驚いた。そして体重がわたしより軽いという……。

今年はさまざまな本の刊行、文庫の刊行、長編も出る予定で、海外での刊行&出張もつづくし、今まででいちばん忙しくなりそうで震えてますが、子育て四年目とはいえ、急な病気とかどうするねんな的さまざまな理由でいつもわりに不安です。でも、がんばって駆け抜けたいと思います。『きみは赤ちゃん』も、何刷りかちょっともうわからないんだけれどありがたいことに増刷は続き、そして『すべて真夜中の恋人たち』文庫版も、たしか12刷?とかで、そして秋に出た『あこがれ』も増刷していただきまして、みなさまのおかげです。読んでくれて、本当にありがとう。

2016.01.06

穂村弘×川上未映子「たましいのふたりごと」刊行記念トークイベント開催でーす

 

告知したばかりなのにすみません!トークイベントは満員御礼になってしまいました、ありがとうございました

 

昨年末に刊行された穂村弘さんとの『たましいのふたりごと』刊行を記念して、トークイベントを開催しまーす。 

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ふたりで78のキーワードについて語り合いました!個人的に思い入れがあるのはいくつもあるけれど、じつは「銀色夏生」だったりします……!! ぜひお読みくださいませ!穂村さんによるまえがき、そしてわたしがあとがきを書いております。装幀は名久井直子さん、表紙の文字は、それぞれが提出したお題を書いたものです。字がこんなに公的なものとして固定されるさまは、なんともいえない衝撃がありますね……顔なんかより、よっぽどパーソナルなものである感じがすごくして、なんか、めっさ、動揺しました。

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2016年1月19日(火)19時〜(開場18時45分)

三省堂書店池袋本店 書籍館4階 イベントスペース「Reading Together」

お申し込みはこちらから

なんかクレジットカードしか使えないみたいなのですが、もしわからないことがあったら直接書店に問い合わせてみてくださいね。ツイッターでは池袋三省堂さんのアカウントで、当日これについて話してほしいわ的なキーワードも募集しているみたいです。どうぞよろしくお願いします。みなさまふるってー!

 

2015.10.16

多和田葉子×川上未映子、『母語の内へ、外へ──表現としての言葉の可能性』公開対談しまーす

すっかり秋で雨など降ってしんしんしますね、胸とかおでことか背中とか。さて、今日は素敵な催しのお知らせです。来る11月16日、多和田葉子さんと対談することになりました。とてもうれしい。

多和田さんと公でというか仕事でお話させていただくのはこれが2度目で、最初は2008年のことでした。多和田さんの住むベルリンまで出かけていって、多和田さんのお家であれこれお話させていただいたのだった(その内容は対談集『六つの星星』に収録されています)。そのあとはベルリン動物園へ行き(なんとまだ在りし日のクヌートを多和田さんと一緒に見たのだった!)、一日中街を散策し、オペラを観て、それから驚愕の「暗闇レストラン」へ行ったのだった。今思いだしてもめまいがするほど贅沢な時間で、あれ本当のことだったのかな……と思うほど、わたしにとっては宝物のような時間です。ドイツ滞在中につけていたノートは今読みかえしても不可思議なムードに満ちていて、多和田さんの圏内にいるということが感覚や思考に反射して、そのまま文字になってゆく興奮の記録、そのままなのだった。そして今回はデイヴィッドも一緒! 三人でいったいどんな話ができるかな。楽しみでたまりません!

 

おかげさまでぱっつぱつの満員御礼、お申し込みは締め切りとなりました!みなさまありがとうございます!

 

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日時: 2015年11月16日(月) 7:00~8:30 pm
会場: 国際文化会館 講堂
対談: 多和田葉子(小説家・詩人)×川上未映子(小説家・詩人)
モデレーター: 辛島デイヴィッド(翻訳家・作家・早稲田大学講師)
用語: 日本語 (通訳なし)
会費: 1,000円 (学生:500円 会員:無料) 
定員: 100名 (要予約)
共催: 日本財団

くわしくはこちら!

とはいえ、もうすでにご予約がいっぱいになりつつあるそうなので(告知が遅れてごめんなさい!)、ご希望のかたはみなさんお急ぎくださいませな。お目にかかるのを楽しみにしています。


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