川上未映子

文学

2018.01.16

それはまるで親密な輪っかめくトークショウ@SHIBUYA PUBLISHING & BOOKSELLERS

 

 1月もはや真んなかをすぎて、定位置。2月っていいよね。空も澄んじゃったりして。分厚いセーターの下で汗とかかいちゃったりして。穴があいちゃったりして(by隅田川乱一)。 でもって、こんな素敵な催しに参加いたします! SHIBUYA PUBLISHING & BOOKSELLERS さんの10周年イベント(素晴らしい!)の、トークにお招きいただきました。 詳細はこちらです!
※予約は一杯となりました。ありがとうございます。

 

 タイトルは「川上未映子の10年。日本文学の10年」 司会進行は「歩きながら考える」編集長の谷口愛さん、そしてインタビュアーに、書評家、文芸評論家の江南亜美子さんをお迎えして、あれから10年このさき10年、そのまんま10years(♪)な内容ぶちあがり盛りだくさんの悲喜こもごもでたくさんお話したいと思います。朗読もします、60名ってまるで親密な輪っかめいて、みなさん、ぜひふるって!着物きていこ。

 

■ 日時:2018年2月1日(木)20:00〜21:30(開場 19:30)

■ 会場:SHIBUYA PUBLISHING & BOOKSELLERS(SPBS)

東京都渋谷区神山町17-3 テラス神山1F

■ 参加費:1,500円 ■ 定員:60名

 

2018.01.07

マームとジプシー&川上未映子「みえるわ」

2018年あけました、おめでとうございます!今年もみなさんはりきって。昨年からもうお知らせ怒涛のてんこ盛りなんだけれどもなかなか追いつかず追いつけず、今日も駆け足で参ります、が、いまはインスタグラムのほうでも写真などと情報をアップしていますので、そちらもチェックしていただければうれしゅう存じます。アカウントは kawakami_mieko でひとつよろしく!

 

 

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それで、舞台のお知らせです。テキストは川上未映子、演出は藤田貴大、そして青柳いづみの一人芝居、「みえるわ」が開催されます。それぞれの作品に衣装があります。わたしは東京と大阪でアフタートークに出演します。ヒグチユウコさんと名久井直子さんによるこのすんばらしいフライヤー…高まりますね、みなさんぜひふるって!……と書いておいて、なんと発売開始すぐに、東京WWWにおける、2月2日、3日の回のチケットが売り切れてしまいました、、、詳しくはマームの公式もろもろからご確認いただければと思います、どうぞよろしくう。チケットご予約はこちらから!

 

川上未映子×マームとジプシー

MUM&GYPSY 10th Anniversary Tour vol.2

「みえるわ」

 チケットご予約受付開始日|2018年1月7日(日)10:00〜

*ご予約は、マームとジプシーやMUM&GYPSY 10th anniversary year 特設サイトのチケットフォームより承ります。

 

[東京]1月31日(水)-2月3日(土)|WWW ・

1.31(wed) 19:30

2.1(thu) 19:30

2.2(fri)14:00/19:30

2.3(sat)14:00

2/2 19:30の回の終演後に川上未映子と藤田貴大によるアフタートークあります

ご予約 4,000円 当日券 4,500円(+ドリンク代500円)

[宮城/塩釜]2月6日(火)|塩竈市杉村惇美術館・大講堂

2.6(tue) 19:00

ご予約 3,500円 当日券 4,000円

[長野]2月10日(土)|まつもと市民芸術館・小ホール

2.10(sat) 14:00

ご予約 3,500円 当日券 4,000円

[福島/郡山]2月12日(月・祝)|LIVE STAGE PEAK ACTION

2.12(mon) 19:00

ご予約 3,500円 当日券 4,000円

[北海道/札幌]2月15日(木)-2月16日(金)|PROVO

2.15(thu) 19:30 2.16(fri) 19:30

ご予約 3,500円 当日券 4,000円(+ドリンク代500円)

[神奈川/横浜]2月20日(火)-2月21日(水)|横浜市開港記念会館・講堂

2.20(tue) 19:30 2.21(wed) 19:00

[山口]2月25日(日)|山口情報芸術センター・スタジオA

2.25(sun) 19:30

ご予約 3,500円 当日券 4,000円

[大阪]2月28日(水)-3月1日(木)|味園ユニバース

2.28(wed)19:30

3.1(thu)19:30

2/28 19:30の回の終演後に川上未映子と藤田貴大によるアフタートークあります

ご予約 4,000円 当日券 4,500円(+ドリンク代600円)

[熊本]3月4日(日)|早川倉庫

3.4(sun)14:00/19:00

ご予約 3,500円 当日券 4,000円 [沖縄]3月7日(水)|水円

3.7(wed)19:30

ご予約 3,500円 当日券 4,000円 [沖縄]3月10日(土)-3月11日(日)|アトリエ銘苅ベース

3.10(sat) 19:30 3.11(sun)14:00

ご予約 3,500円 当日券 4,000円

衣装担当

「先端で、さすわ さされるわ そらええわ」ヒグチユウコ

「少女はおしっこの不安を爆破、心はあせるわ」ANREALAGE

「戦争花嫁」suzuki takayuki

「治療、家の名はコスモス」overlace

「冬の扉」malamute

「水瓶」「夜の目硝子」l i r o t o

 

2017.11.02

流れの起点としての『マリーの愛の証明』

MarrynoAi Kindle版の短編小説『マリーの愛の証明』を刊行しました。
 去年、『GRANTA JAPAN with 早稲田文学 03』に掲載された作品です。

 前回、kindleでリリースした『シャンデリア』もとてもたくさんの方々に読んでいただけているみたいでうれしいです。

 kindle unlimited に加入していらっしゃるかたは無料で、通常購入であれば199円です。

 Kindle端末をお持ちでなくとも、無料アプリを登録するとスマホやパソコンで読むことができます。

 

 いちばん新しい小説は、数ヶ月前に「新潮」に発表した『ウィステリアと三人の女たち』なんですが、この作品への流れの起点としてこの『マリーの愛の証明』という短編があり、誰にも関係ないことかもしれないのでこういうこと書くのもあれなんですが、自分にとって重要な手触りと経験の残る一作だったような気がしています。ぜひ、お読みいただけるとうれしいです。顔もみせずに去ってしまったと思っていた秋が後ろ頭を見せながらやってきた、ような気もしてる。

 

 ※『マリーの愛の証明』は『ウィステリアと三人の女たち』にも収録されました。

 

2017.10.06

村上春樹さんによる、川上未映子とその作品について@LITERARY HUB

 文学系サイトとしてとても有名な、LITERARY HUB に村上春樹さんがわたしとわたしの作品についての文章を寄せてくれています。とてもうれしく、光栄なことです。

 記事のタイトルは「HARUKI MURAKAMI ON HIS FAVORITEYOUNG NOVELIST: MIEKO KAWAKAMI」で、ぜひお読みくださいませ。また、本サイトの右上の ENGLISH のところから、現在の翻訳状況などもチェックできます。ウェブで読めるものもありますので、こちらもぜひ!!

 

 

HubHaruki

2017.10.02

WAN主催、ミニコミに学ぶ!「銃後史ノート」読書会に参加します

 

 先日は「早稲田文学 女性号」ローンチイベントにお越しくださったみなさま、ありがとうございました。開演までの30分、マッドマックス・フューリーロードをラフマニノフ、シンフォニー2番でご覧いただいたひととき、高まりました……さて、さすがの秋って感じで、読書、文学、様々にまつわる色々な催しが!!こちら、参加します!混乱のとき、変化のときに生きた女性たちが書き残したテキストを読み、感じ考えたことをお話できればと思います。みなさま、ぜひこの機会に、ふるってご参加くださいな。とても楽しみにしています。

 

 

●シリーズ・ミニコミに学ぶⅠ―『銃後史ノート』編 『こうして戦争は始まる――孫世代が出合う「銃後の女たち」』

過去の経験を今に生かす」ことは可能なのか?「女たちの現在を問う会」編著による『銃後史ノート』(戦前編)を取りあげ、当時を生きた人々だけでなく戦争を知らない幅広い世代の人々と一緒に、日本がどのように戦争に突き進んだか、女性が任された「銃後」とは何だったのかを振り返り、現在と何が似ているのか、何が違うのかを考えます。

 

日時:2017年11月11日(土)13:30~17:00
場所:上智大学2号館401教室
定員:200名
対象者:テーマに関心のある方
参加費用:1000円(WAN会員は資料代500円)
申込み:uenoseminar@wan.or.jp へメールで申し込み (タイトルを「銃後史ノートに参加希望」とし本文に氏名・連絡先・WAN会員の有無明記のこと)
定員になり次第終了

話者:
・加納実紀代さん
(「銃後史ノート」編集同人、女性史研究者)
・むらき数子さん
(「銃後史ノート」編集同人、ミニコミ「むらき数子情報ファイル」発信)
・佐藤文香さん
(ジェンダー研究者、一橋大学教授)

トーク(読者):
・川上未映子さん 作家
・小林エリカさん 作家、漫画家
・福田和香子さん 元SEALDs

コーディネータ:上野千鶴子さん(WAN理事長)

●タイムテーブル
 第1部
 開会の挨拶、ミニコミ図書館や今回の主旨について
「女性の戦争協力と『銃後史ノート』」加納実紀代さん
「私にとっての『銃後史ノート』――少年志願兵を止められる母になりたかった」むらき数子さん
「銃後からフロントへ―女性活躍時代の自衛隊」佐藤文香さん
トーク①福田和香子さんの感想発表
トーク②小林エリカさんの感想発表
トーク③川上未映子さんの感想発表
第2部
ディスカッション
まとめ:上野千鶴子さん
閉会挨拶・謝辞

主催:認定NPO法人ウィメンズアクションネットワーク ミニコミ図書館+WAN上野ゼミ
共催:上智大学蘭科研

●参考論文
今回『銃後史ノート』(戦前編)より9論文を取り上げてディスカッションします。
そのうち、以下の6論文についてはミニコミ図書館において掲載しています。
是非事前にご一読の上、ご参加ください。
・復刊1号より「<死>の誘惑―三原山・自殺ブームをめぐって」加納実紀代

・復刊1号より「「母性」からの離陸とその挫折」長谷川啓

・復刊3号より「「紀元二千六百年」と教育改革」小園優子

・復刊3号より「「紀元二千六百年」―まつりと女―」むらき数子

・復刊7号より「民法改正―家制度の廃止をめぐって」植田朱美・香川福子

・復刊7号より「児童雑誌の中の“民主主義”」小原解子

2017.09.02

早稲田文学増刊 川上未映子責任編集「女性号」 巻頭言全文

早稲田文学増刊 川上未映子責任編集「女性号」

 

<巻頭言>

 

  数年前、ある女性作家と話していたときのこと。

「いつだったか、どこかの文芸誌が女性特集みたいなことをやって、書き手を全員女性にしたんですよね。でもわたしあのとき、古いなあって白けちゃって。今さらフェミって感じでもないしなあって思ってしまった」。

 

 わたしはその文芸誌の存在を知りませんでしたが、女性が女性について語ったり書いたり、読んだりするそんな特集があるなら読んでみたいと思いました。毎月、無数に刊行されているなかでそんな雑誌があって当然だし、論壇誌や思想誌では逆のことが当たりまえに起きているのに、なぜそれが女性になると特殊な出来事のように思われるのだろう。他愛のない会話の中の彼女の何気ない発言をわたしはその後、折にふれ思いだすことになりました。とくに脈絡もなく、ふとしたときに頭をよぎるのです。

 

 今回、早稲田文学の外部編集委員になり、責任編集というかたちで特集を組むにあたって、わたしはすぐに「古くて白けて今さらフェミ」と件の彼女が感じたような特集をぜひやってみたいと思いました。とはいえ、女性という言葉にはご存じのとおり様々な問題が付随しています。

 まず、女性とは何なのか。誰のことを指し、またどのような認識や条件によってそれが可能なのか。仮に女性というものに定義を与えることができたとして、そのうえで女性をテーマにすることにどのような意義があるのか。性別二分法を容認し、より閉塞感を強めることになるのではないか。現在取り組むべきは女性に限定したものではなく人権全般について、あるいは性の多様性と可能性についてではないのか。女性が女性について語るのは退行ではないのか。問題はいつでも「人間」ではないのか。

 

 しかし、それでもなお、女性というものは存在しています。女性一般というものがなく、また、それがどのような文脈で語られるにせよ、女性は存在しています。

  SNSの普及によって性をめぐるポリティカルコレクトネスの議論が可視化され、以前に比べて人々が意見/異見を表明し、それをシェアする機会が増えました。世界中の様々な人々の状況や活動を知ることができ、これまでの常識や現状を相対化するための一歩を踏みだしたようにも思えます(むろん不毛な局面も多いですが)。性をめぐる問題は十年一日のもどかしさもたしかにあるけれど、しかし何かが少しずつ変化しているのではないか。もしかしたら今が、何度目かの、何かが変り始めようとしているその瞬間なのではないだろうか。あまりに楽観的な観測ですが、そう信じることで動きだす何かがあるはずだとも感じています。

  特集を組むにあたり、本当は2017年現在における、ありとあらゆる分野における女性についての表現活動と諸問題を今号に網羅し記録しておきたい──そんな強い気持ちがありました。けれどもそれは現実的に難しい。わたしはフェミニストですが、フェミニズムを学問として学んだことはありませんし、専門家による女性学やクィア批評、ジェンダーをめぐる慎重にして優れた特集や論考は数多くあり、わたしたちはそれらを読み、議論に参加することができます。そして言うまでもなく、創作の動機のすべてが、正しさの追求にあるわけではありません。多くの場合は秩序よりも混沌を好み、決定よりも保留を好み、安定よりも動揺を好みます。

 

 では今回、文芸誌である早稲田文学の特集では何に特化し、集中するべきか。既視感に溢れる動機だと思われるかもしれませんが、「女性」というものと「書く」という表現がどのような関係にあるのか、またそれらはどのように読まれ、あるいは、読まれないのか。過去に、「女性が書く」あるいは「女性について書く」、「それらを読む」という行為においてどのような抑圧と解放と変化があったのか。「人間を書く」ということと「女性を書く」ことはどのようにおなじで、どのように違うのか、あるいは違わないのか。そして現在、女性の創作をめぐる状況はどのようにしてあるのか──それらをしっかりと形にし、記録したいと思いました。

 

 生きている人たちの、そして死んで今はいなくなってしまった人たちの、素晴らしい作品を掲載することができました。この特集のために、多くの素晴らしい書き手たちが新しい作品を寄せ、また再録を許可してくれました。ついこのあいだ生まれたばかりの作品、百年以上も前の作品、そしてそのあいだに書かれてきた多くの作品たち──この本を開いてくれた読者の「今」に、それらがいっせいに立ちあがるところを想像すればこみあげてくるこれを、わたしはまだ言葉にすることができません。この特集を読んでくれたあなたは、いったいどんなことを思うだろう。どんなことに疑問をもち、どんなことに興奮して、どんなことに首をかしげ、どんなことを愉しんで、そして夢中になってくれるだろう──この一冊が、現在の記録であるのと同時に、読んでくれた読者を──とりわけこれからを作ってゆく読者たちを勇気づけ、新たな問いかけの機会になることを、心から願っています。

 

「どうせそんなものだろう」、そう言ってあなたに蓋をしようとする人たちに、そして「まだそんなことを言っているのか」と笑いながら、あなたから背を向ける人たちに、どうか「これは一度きりのわたしの人生の、ほんとうの問題なのだ」と表明する勇気を。それが本当のところはいったいなんであるのかがついぞわからない仕組みになっている一度きりの「生」や「死」とおなじように、まだ誰にも知られていない「女性」があるはず。まだ語られていない「女性」があるはず。そして、言葉や物語が掬ってこなかった/こられなかった、声を発することもできずに生きている/生きてきた「女性」がいる。そしてそれらは同時に、「語られることのなかった、女性以外のものやできごと」を照らします。

 

 そこで本当は何が起きているの。

 あなたは、どこからきて、どこへいくの。

 ねえ、いまあなたは、なんて言ったの?

 

 いつもあまりに多くのことを見過ごして、そしてまちがってしまうわたしたちは、まだ何にも知らない。わたしたちは知りたい。わたしたちは書きたい。わたしたちは読みたい、目のまえにひろがっているこれらのすべてがいったいなんであるのかを、胸にこみあげてくるこれがなんであるのかを、そしてそれらを書いたり読んだりするこれらが、いったいなんであるのかを、知りたい──その欲望と努力の別名が、文学だと思うのです。

 

川上未映子

 

 

 

 

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2017.07.28

GRANTA Portugal に短編が掲載されました

 

 

 短編「彼女と彼女の記憶について」が「GRANTA Portugal」に掲載されました。グランタ・ポルトガルの今号の特集テーマは「食べる」です。オリジナルは柴田元幸さんが責任編集を務める文芸誌「MONKEY」のvol 2での掲載。英訳は、GRANTA web で読むことができまーす。このときのテーマは「所有」でした。

 GRANTAPortugal

 

 翻訳も増えてきておりまして、こちらで確認していただけるとうれしいです。今書いている長編を早く完成させねばならぬと心は焦るわしかし、5歳児のポテンシャルは半端なく、6分の1しか仕事できていないと感じるこの感じは、少しましになったとはいえ常に常にじりじりして、そのせいで歯ぎしりがすごいのか、現在わたしは40歳にして歯列矯正をしています。このままだと歯をくいしばりすぎて奥歯がなくなってしまうよということで、著作的にもそれはあかんやろということで、痛いし大変だけれどときどき白目でがんばっています。

 

色々お知らせ滞っているけれど追って追って。夏のささやかな思い出などもアップしたいな。

2017.07.06

ウィステリアと三人の女たち、そして詩のことなど

 

 

 しっかし暑い日がつづき雨が降って植木鉢は湿っている、のを見てほっとする、そんな7月そんな午前11時、わたしはこれからヤムウンセンを食べにでかける。

 

 そんなわけで、小説「ウィステリアと三人の女たち」を書きまして、七夕に発売の文芸誌「新潮」8月号に掲載されます。小説を書く動機は無数にあるけれど、この小説を書き始めたときはどうしても「瓦礫」を書いてみたいという気持ちが沸き立って始まったすべての色々だった。読んでいただけるとうれしいな。どうぞ、よろしくお願いいたします。

 

 そして、同日発売の文芸誌「すばる」8月号には、5月13日に日本近代文学館で行われた鼎談が収録されています。伊藤比呂美さん、平田俊子さんと「詩人と朗読」をテーマにお話しました。

 

 わたしは今も昔も、なんだか朗読というものがよくわからないままここまできていて、その日は少しだけ、そのことについて話すことができたけれど、まだまだひきつづき考えたい。朗読をするのも聴くのも好きな人は多いという印象があるのだけれど、朗読とひとくちに言っても、おなじ文字で書かれたテキストとはいえ小説と詩では、それはおそらく違う行為なんやろう。詩にとって朗読って、何かいいことあるんかいな。わたしはまだよくわからない。

 

 「詩の朗読にはとても意味がある」という考えかたより、

 「詩の朗読にはまったく意味ない、むしろ悪」ぐらいの考えかたのほうに、

 

 わたしの知りたいなにか大事なことが潜んでいるのではないかいなと、この4年くらいずっと思っている。ぜひお読みくださいませ!

 

 

※追記

 きのうは「小説すばる」にリンクを張ってしまっていたみたいなんですけれど、掲載誌は「すばる」でした。間違えてごめんなさい。

 今日はゆげゆげになるくらい暑くて3回くらいめまいしましたわ、しかし入る熱いお風呂。

 

 

2017.04.25

みみずくは黄昏に飛びたってどこいくん

mimizuku『みみずくは黄昏に飛びたつ──川上未映子 訊く、村上春樹 語る──』が刊行されます。
 わたしによる村上春樹ロングロング・インタビューでして、4日間、十数時間にわたって行ったものを収録しました。 村上さんの新作長編『騎士団長殺し』を中心にしたインタビューというかたちで始まったのだけれど、結果的に作品を通して村上さんの全仕事をめぐりにめぐる内容になりました。

 2015年に一度、柴田元幸さん責任編集の『MONKEY』誌上で、このときは村上さんの『職業としての小説家』にかんするインタビューをさせていただいたのですが、「このようにインタビューするのは一度きり」と思っていたので、網羅的&駆け足的にぎゅぎゅっと凝縮した内容でした。それで今回の語り下ろしというかインタビュー下ろしの部分はそこからさらにさらに分け入って、しぶとくしつこく、ぬらぬらと、あれもこれもみっちりふんだんに村上さんにお話を伺うことができました。

 ご存知のように、村上さんはこれまでたくさんエッセイを書かれ、また数え切れないほど取材を受けてそれが一冊になっていたり、また、『村上さんのところ』のように読者のみなさんからじかに質問を受け取って回答されていたりして「ここに、わたしがいったい新しく何をぶっこめると言うのだろう……」という懸念もあったのですが、終わってみると、ここでしか読めない一冊に仕上がったのではないかと、そう感じています。

 ちなみにタイトルはわたしが考えたのですが、ベースはもちろんヘーゲルのミネルヴァの梟で、今回『騎士団長殺し』にみみずくが出てくるので、合体しました。みみずく、かわいいですよね。梟と何が違うのかというと、みみずくには耳がついているのだと。木菟。木にいるうさぎってことでなるほど漢字もすごくかわいい。秋にゲラをちょうだいして読んでから、ずっとみみずくがわたしの頭の中にあったので、みみずくをタイトルにつけることができて本当にうれしい。そして今回は、なんとKindle版も同時発売。紙で、電子で、お好きなほうでぜひぜひお読みくださいませな。

2017.04.17

「声のライブラリー」で朗読の、春と夏のあいだ

 「若いとき、桜は大変なものだった。今でもその理由はわかるけど、しかしこのあいだ猛烈に咲く桜の樹の下を車でくぐり抜けたとき、やられる感じはもうしなかった。この花の、どうもこの世のものではないような雰囲気を、時間の柔らかな底をすっかりさらって胸にそっくり移し変えるその手つきを、今やわたしは堂々と無視し、そしてうたた寝さえしてみせたのだ」

  これは去年の今頃に書いたものだけれど今年は自分がうたた寝をしたことにも気づかない。桜は一年ごとに記憶と見分けがつかなくなってゆく、来年はもっと遠くなり、やがてそれが誰の記憶であるのかも問わずに流れてゆくんだろう。桜とわたしの距離がそんなふうに膨らむのに任せていたら、町にひとつだけ咲いている立派な桜の樹の下で交通事故に遭ってしまった。体は無事、心も無事、桜はもっと静かに無事(自転車は廃車)。

  こちらに出演します、これまで刊行した2冊の詩集『先端で、さすわさされるわ そらええわ』『水瓶』のなかから読みたいと思います、でも不思議、いまだに朗読ってほんとに不思議。何をしているのかがわからないからそれも合わせて楽しみにしています。お申込み方法がちょっとお手間ですけれど、みなさまふるって、どうぞよろしくお願いします。

おかげさまで定員に達しましたため、応募を締め切らせていただきます。ありがとうございます。当日を楽しみにしています!

第89回「声のライブラリー」
自作朗読と座談会
2017年5月13日(土) 2:00~4:00
会場 日本近代文学館 ホール
司会:伊藤比呂美氏。平田俊子氏、川上未映子。
参加料2100円(学生1600円)。先着80人。
申込方法はこちらのページでご覧ください。

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