川上未映子

未映子情報

2015.03.06

Hanako presents 「WELCOM TO DYSON WORLD!」トークイベント @スパイラルホール

もう8年くらいになるかしら、エッセイ『りぼんにお願い』を連載させていただいているHanako×DYSON、トークイベントが開催されることになりました。わーい!

当日はダイソンの「ものはきちんと機能してこそ美しい」をテーマに、「物と心と機能」についてのあれこれをお話できたら&伺えたらなあ、と思っています。

今回、お披露目される最新の製品を開発したのは、オラさんという女性の技術者で、まだ二十代という若さ。
ダイソンでも女性がこのようなかたちで抜擢されるのは初めてということで、わたしはそのあたりも興味津々。達成、困難、展望、そのほかたくさん………色んなことを伺って、「ものをつくること」に迫れたらと思います。

デザインや言葉、それらを人に届けるということ、そして女性がものを作り、それを発信してゆくことに興味のあるみなさま、ぜひぜひおいでくださいませ!お会いできるの楽しみにしています!

開催日時 3月18日(水)
開場:18:00
開始:18:30〜19:30
場所:スパイラル・ガーデン (東京メトロ銀座線・半蔵門線・千代田線「表参道駅」B1出口前)
応募方法 : DysonPR.Japan@dyson.com 宛てに、3月10日までにメールにて応募ください。      
件名には川上さんトークショー参加希望と明記してください。
先着100名 (ご参加いただける方にはダイソンより直接ご連絡いたします)
※参加者全員にダイソンオリジナルグッズをプレゼント。

問合せ/DysonPR.Japan@dyson.com

 

2015.02.02

たけくらべにさわる 〜『たけくらべ』現代語訳刊行記念イベントにつきまして

 

 

しかし冬。みなさま、頬、腰、くるぶし、お元気。

 これまで何回かにわたってお知らせしてまいりました、樋口一葉『たけくらべ』の新訳が、2月10日ごろに発売になりまーす。よかっつー!!!(よかったの複数形)

 こちらは河出書房新社から、今後数年間にわたって刊行されます「池澤夏樹=個人編集 日本文学全集」のひとつになります!

 去年の秋に刊行されました池澤夏樹訳『古事記』、 表紙の色も、鴻池朋子さんの絵の帯もうるわしく、書店でも平積みで大好評! そして第二弾は中上健次『鳳仙花』、第三弾が、この『たけくらべ』になります。

 

ほかに収録されますのは、夏目漱石『三四郎』、森鴎外『青年』。明治の東京を舞台に繰り広げられる思春期&青春小説みっつだよ。ただいま予約受付中ですので、ぜひお求めくださいませ!

 そしてこちらが『たけくらべ』の表紙になります。帯の絵は、漫画家の浅生いにお先生の作品でございます。

 ところでこの表紙を見た友人・知人から、「なんで帯にあんたが……」的な突っ込みをたくさんいただいているのですが、すみません。この帯の女性はわたしではなく、ご存じ『三四郎』の美禰子なのです。そう、編集部から「現代版の『美禰子』(何気ない仕草にぐっときてしまう男子目線で描いた、きれいなお姉さん。かといって年上感ではなく、「たけくらべ」の美登利にも通じるような少女感も残したかわいさがある女子)を描いてほしい」という依頼を受けられた浅生いにお先生による、現代版・美禰子なのです。たしかに髪型おんなじですけれど、そう言われてみるともう美禰子にしか見えないこの不思議。美禰子美禰子、わたしの処女作に出てくるのは三年子。ああわたしたち、いつだってストレイシープ。

 

 itiyou2

 

そして先日もお知らせしました、イベントの詳細が決まりましたわーい。予約も不要で、無料なので、みなさんぜひ、聴きにいらしてくださいな。

 第 1部は、『たけくらべ』について色々なことをわたしが全力&全愛でもって語るという、少々暑苦しい会になるかもしれませんが冬だしいいよね。内容はこれから色々と考えたいと思っていますが、原文と今回わたしが訳した文章を比較したり、具体的なところ&細々したところも多くなるのやもしれません。なので、できますれば、みなさまぜひ今回の現代語訳版をお読みいただいてからのご参加、ということになれば諸々がなお豊か、わたしはめさめさうれしかったりします。 そしてちょっとかわった朗読もやる予定でいます。『たけくらべ』が好きな人も、これまで興味のなかった人も、ふうん、ちょっと読んでみよっかなーと思ってくれたりしたかたも、そうでないかたも! 当日は『たけくらべ』の魅力について精一杯お話したいと思っております。どうぞみなさまよろしくお願いします。そして第2部は、座談をします。こちらもいったいどんな内容&お話ができるのが今からすごく楽しみ。

 

   

「池澤夏樹=個人編集 日本文学全集」

第13巻『樋口一葉 たけくらべ/夏目漱石/森鷗外』刊行記念
東京大学で一葉・漱石・鷗外を読む

2015年2月22日(日)14時開演(13時30分開場)

場所:東京大学本郷キャンパス法文2号館1番大教室
アクセス:丸ノ内線・大江戸線「本郷三丁目」、南北線「東大前」下車、徒歩10分

予約:不要(先着順。会場は約220人収容)。当日12時30分より会場入口で整理券を配布。
満席の場合は、入場をお断りする場合もあります。
入場:無料

第1部 14時〜15時
「たけくらべ」にさわる
川上未映子(作家)

第2部 15時15分〜16時45分
シンポジウム・明治の青春小説の魅力
池澤夏樹(作家)×川上未映子(作家)×紅野謙介(日本大学教授)×沼野充義(東京大学教授)

 

昨年11月から刊行が始まった「池澤夏樹=個人編集 日本文学全集」。その第13巻『樋口一葉 たけくらべ/夏目漱石/森鷗外』が2月に刊行されます。収録作品は、明治を象徴する青春小説「たけくらべ」「三四郎」「青年」の三作。それぞれの作家・作品にゆかりの深い本郷の東京大学で、各作品の魅力と明治の文学について、全集編者の池澤夏樹氏、「たけくらべ」の新訳に取り組んだ川上未映子氏、近代文学が専門の紅野
謙介氏と、東京大学現代文芸論研究室の沼野充義氏が語り合います。

お問い合わせは、東京大学文学部現代文芸論研究室 Tel&fax:03-5841-7955
E-mail:genbun@l.u-tokyo.ac.jp までよろしくです。

 

 

2015.01.15

きつねの嫁入り、アフタトーク

 新年についてお祝いの言葉を書く、というタイミングでももはやなくなってしまった今日はもう一月も半ばなんですけれども、みなさまいかがお過ごしでしょうか。めっさ最高むさむさやる気、って感じじゃなくても、どうかまあまあな毎日をお過ごしでいらっしゃいますように。

 

  年々、お正月気分というのがほとんど消滅に近づいていっているあんばいですが、でもお雑煮だけはつくって食べました。あの、うすっぺらい、しゃぶっとしたらあんがい美味しいのではないかと思うお餅、いつもちょっとだけ気になるんだけれども、思うだけでさっと去り、そして例年どおりお餅は食べないお正月でした。

 近況は、夏の終わりからやっていた『たけくらべ』の現代語訳のゲラに年末も年始もずっとかかりきりで、おととい、わたしのやるべきすべての作業がやっと終わって脱力しながらも、お、終わった……ってな感じでやっぱりほっとしております。刊行は2月の半ばあたりで、それに合わせてイベントも開催される予定であります。「たけくらべ」についてお話できるのかと思うといまから本当にうれしいな。イベントの詳細が決定しましたらすぐにお知らせいたしますので、どうぞよろしくお願いします。

 

 2014年、とくに春は、国内&国外と、いろいろあちこち行ったり来たり、出かける仕事が二週間以上もつづいて出不精なわたしにとっては記憶に残るかたまりでした。

 マームとジプシー&川上未映子「まえのひ」全国ツアーもそのころで、拙著『先端で、さすわさされるわ そらええわ』『水瓶』の大部分をすべて暗記して臨んだ青柳いづみさんのひとり芝居は、すべてが忘れられないものとしてあって、今でも喉がうっと鳴ります。ツアーをするきっかけになった最初は、2013年の秋の、原宿のVACANTでの公演「マームとジプシー&青土社&川上未映子 初秋のサプライズ」で、こちらも忘れがたい出来事だった、なー。今年もマーム、いっぱい観たいものですぜ(リンクから、舞台写真や、パンフレットに寄せた文章などなどご覧いただけます)!!

 それで、昨年は野田秀樹作「小指の思い出」の記憶も新しい、マームとジプシーの1年ぶりのオリジナル公演「カタチノチガウ」が、東京ではおなじくVACANTで開催されるのだけれど、こちらはもうチケットが売り切れておりまして、追加公演が横浜であります。

 それで、最後の日、2月13日に、アフタートークにお誘いいただきまして、主宰の藤田貴大さんと色々な話をすることになりました。16時の回の終わりです。

  ほかの日のアフタートークには、穂村弘さん、名久井直子さんも登壇されます。場所とか、時間とか、公演の内容や、マームとジプシーについてはこちらのサイトでご覧くださいませ。去年、藤田貴大さんと対談したものは、こちらからお読みいただけます。ぜひ、お越しくださいませ!

 

 新年の抱負としましては、長編を書きあげたい気持ちだけがぐらぐらぐつぐつあるのだけれど、しかし今年は短編&中編も押し迫っておりまして、まだ何がどうなるのかわからない状態で、とにかく毎日時間を確保して書くしかないような、去年一昨年とあんまり変わらない一年になりそうです。

  初春にはエッセイ『魔法飛行』が中央公論新社から文庫版として刊行される予定で、また色々なお知らせができると思います。よろしくお願いします。今わたしは大阪におりまして、ものすごい晴れてるのにすっごい雨が降っててきらきらしていて、これはきつねの嫁入りだったですね。

 

 

 

 

2014.12.11

春の、さまざまなお知らせ

 ご無沙汰しております、すっかりめきめき寒くなって、やっぱ冬将軍って感じですね。今年もあっという間に終わってしまうわけですけれど、いま現在は怒濤の年末進行で、毎日毎日気がつけば、パソコンやゲラと一体化しているんじゃないかという親密さでもって原稿をただひたすらに書いています。みなさんは、いかがお過ごしですか……。

 

 ○今日も今日とてお知らせですが、筑摩書房から刊行される、ちくま評伝シリーズ『ココ・シャネル』の一冊に、巻末エッセイを寄稿しました。

 

9784480766229

 

 怒れる孤高のココシャネル……タイトルはこんなんじゃないけれど、内容はこんな感じです。若い読者が様々な人々を知るきっかけになってくれればよいなと思う、素敵なシリーズであります。どうぞよろしくお願いします。

 

 ○『文學界』1月号ラブレター特集に寄稿しております。作家がラブレターを書く、というシンプルながらも恐ろしい企画で、しかし楽しんで書きました。そしてお知らせがずいぶん遅くなりましたが、来年からの文學界新人賞の選考委員に就任いたしました。小説を応募くださるみなさまへのメッセージはここから読めます!そう、人生はなんかの玉。

 

 ○そして、今週発売の『週刊新潮』では、作家の北原みのりさんと、アーティストのろくでなし子さんの逮捕、再逮捕について書いています。タイトルは『女性器は女性のものに決まってるだろ!!』です。こちらのブログ記事「まんまんちゃん、あん!」と併せてお読みいただければ幸いです。

 

 

 

 そして……来年から、またいくつか新連載が始まります。

 子どもが生まれて時間があまりにもどこにもなくて、もう連載は増やさないで生きていこう、そうしないと小説も詩も書く時間がほんとうにないないと震えている矢先になぜ! なぜなぜなぜこんな展開になっているのかというと、これらの連載のご依頼をいただいた当時、「……ふうむ……でもま、そうね、2014年には、いくらなんでも例の長編、書き終わってるやろ」と、ふつうにそんなことを馬鹿なわたしはなんとなく信じていたわけであって、なので「いま書いてる長編終わってるので2年後だったらいけますよー」なんて編集者の方々にけっこう楽観的に答えてしまったわたしなのだけれど、じっさいに2014年が終わろうとしているいま、じゃあ現実がいったいどうなっているかというと長編なんてまったくぜんぜん書きあがってないのはもちろん、何もかもがきつきつになってゆくいっぽう、それどころか一年以上も待ってもらってる短編だって複数ある始末で、すべてがごてごての、もう見渡す限りがわやくちゃなんである。

 「でも、ちょ、長編でてないのみんな何となくわかってくれてるやろうし、約束したのって2年前やし、それからみんなの気持ちも変わるやろうし、あのときの連載の話、なんとなくない感じの方向に流れていってるかもしれへんな……」と息を潜めて静かにしていたら、もちろんそんなことはなく、みなさまとびっきりの笑顔で締め切りをがんがんに決めてくださいまして、迅速に、円滑に、ごくごく自然にすべてが(わたしの小説以外)予定通り始まって、そして、動きだしたのでありました。

 

 2015年の1月22日号から新しく始まるのは、

 『婦人公論』の巻末エッセイ、タイトルは「一期一えっ!?」です。週刊新潮の『オモロマンティック・ボム!』もそうやし、「ミエコもそういうの、好きねえ……」を思われるかもしれませんが、この素晴らしくもおきゃんなタイトルをつけてくれたのは編集者の石川由美子さんで、いくつか並んだタイトル案のなかで最初にこれを見つけたとき、「石川さんも、明るい顔して、けっこう追い込まれてんねんな……」と思ったけれど、見ているうちにわたしが考えたのなんかよりも、だんだんこっちが好きになって、「これがええんとちやう」という感じで決定と相成った次第でございます。1年間、思わず、『えっ!?』と驚いたことについてのあれこれを書いてゆきたいと思います。イラストは、『岡崎に捧ぐ』で話題沸騰の新進気鋭、漫画家の山本さほ先生でーす! 山本先生による、「驚愕するミエコ」イラストも8割増しに素敵に描いてくだすって、こちらもぜひぜひ、お楽しみくださいませ。隔週で、どうぞよろしう。

 

  そして『美的』でのショートストーリー、『コスメの魔法』です。気になるわたしの好きなコスメをひとつあげて、それにまつわる小さなお話を毎号書いてゆきます。コスメ、好きなんですよね……(しみじみ)。『Frau』での連載「伝説のコスメ」はレジェンドである一品をめぐっての随筆で、おなじコスメを中心とする文章でも、まったく違うあんばいになっております。それぞれ誌面も素晴らしくうつくしいので、ぜひ、お読みくださいませ。

 

 そして『たまごクラブ』での『ママは荒野を目指さない!』です。荒野、目指せへんのかよ!と即座に突っ込まれそうですが、ママは色々しんどいんだよ……荒野なんか目指さなくても気の持ちようでリビングも台所も風呂場もどこでも荒野になるんだよ……っていうのがこのタイトルの所以ということではないけれど、でもできれば荒野は目指したくない、これ以上ささくれたくない、ごつごつした大地もいまは踏みしめたたくない、みたいな気持ちで、どうかひとつよろしくお願いします。毎号、ひとつひとつトピックをあげて、それについて書いてゆきます! 2015年1月号には、連載開始にあたってのロングインタビューが掲載されます!よろ!

 

 

 

2014.11.25

11月の去りぎわに、お知らせをきゃっと

 先日は、日仏会館での「フランスで読まれる川上未映子」にお越しくださいましたみなさま、ありがとうございました。そして、いっぱいになってしまったために参加していただけなかったみなさま、ごめんなさい。質疑応答含めてあっというまの2時間で、とても楽しかったです。うしし、ブログのためにあれこれいっぱい写真とろ、といつも思うのやったけど、いつも忘れてしまうのだよね。ブログって今更やけど写真あったほうが明るくていいなと思ってるのやけれども、つぎはぜったい忘れんようにしよう……。

 

 そう、催しは、詩人で作家の関口涼子さんを司会に、フランス語の翻訳者であるパトリック・オノレさんとの鼎談で、翻訳にかんする話がメインだったわけですが、そこから「文体」「作家の声」「リズム」と、テキストにとってとても重要な要素がむくむくと膨らみ、いまも色々考えつづけております。おなじ日本語ではあるけれど、「たけくらべ」を翻訳することで、体感したこと、つかめたことがいくつもあって、そのことについても少しお話したのですが、これについてはまた「たけくらべ」の新訳が刊行されるときにでも、どこかで特化したかたちでお話できればなあ、と夢想しております。

 

 そして29日は、『きみは赤ちゃん』のトーク&ラジオ公開収録イベントなのですが、こちらも本当にたくさんのお申し込みをいただきまして、抽選ということになってしまいました……わたしとしましては、とくに今回は、行きたいな、と思ってくださった方全員をお招きしたい気持ちがつよくあったのですが、どうしてもかなわず、せっかく申し込みしてくださったのに、ごめんなさい。どこかでまた、こんなようなイベントできたらなあって思っております。そのときはどうぞ、よろしくお願いします。

 

 そしてさまざまなお知らせです!

 

 ○ BAILA 12月号に、インタビュー掲載されております。『きみは赤ちゃん』を読んでくださった編集者のかたが「!!」となってくださりたちあがった企画だそうです! 作家と子育て、というような特集で、辻村深月さん、小山田浩子さんのインタビューも!どうぞお楽しみください!

 

 ○ 週刊朝日12/5号 「林真理子 ゲストコレクション」にて、林真理子さんとの対談です。旅行にもゆかず、グルメでもないわたしが最後に何で倒れるかというとそれはたぶん着倒れで、林さんの「ジル・サンダー、マイケル・ジャクソン買い」の話から、ファッションはもちろん、それに先立つものの話、つまりお金、そして洋服を収納するための場所である家、つまり土地、についてや、もちろん小説の話、そして『きみは赤ちゃん』についてなど、あれこれたくさんお話しました。というか、どうにも記事にできない話で盛りあがりすぎて時間が足りませんでした。めさめさ楽しかった。

 

 ○ AERA with BABY 12月号に、インタビューが掲載されております。おすすめの絵本、音楽、小説についてふれております。色々な人の子育てについて知ることができるし、たとえばこれからの季節、要注意のインフルエンザやノロウイルスなど、さまざまな病気への対応とか、食べ物とか、しつけのポイントとか、ストレスの逃し方とか、そうよ、色々知ってるつもりでもこのこまかいところがいまいち不安で気になるのよな……と思うようなポイントの回答や、そのほか情報満載で、おっし今日もがんばろう、と激しく励まされる一冊です。もちろん、それらはネットでも知ることはできるんだけれど、知りたいことが一冊にきゅっとまとまってるっていうのはとにかく有り難いですよね。ぜひ!

 

 ってな感じで11月もそろそろ退場……今年も残すところあとわずかとなりましたが、風邪などひかず、いや、ひいてもなんとかがんばりましょう。そして、そうです、『すべて真夜中の恋人たち』、発売一ヶ月の段階で、はやくも4刷のご報告をいただきました。ありがとう……この季節にあの物語を読んでもらってるのが、うれしいですなあ。

 

 

2014.11.13

樋口一葉 & 葛飾応為 IN 2014

 夏の真ん中あたりからずうっと、今もつづいております『きみは赤ちゃん』のプロモーションと平行してやっていたのが、樋口一葉『たけくらべ』の現代語訳

 一文字一文字をおでこに埋め込んでゆくような気合いとあんばいでもって取り組んできたのやったけど、このあいだ、とうとう、とうとう終わってしまって、全力で脱力している日々であります。いくつもある名場面&山場、そして会話、登場人物たちのふるまいのひとつひとつに言葉にあてて置き換えてゆくそのすべてがいつもクライマックスやったけれども、最後の最後、あの一行を終えたときは、もう『わたしのなかの全樋口が泣いた』みたいな感じで、何もかもがたまりませんでした。多くのみなさんにとってもきっとそうであるように、やはりわたしにとって『たけくらべ』がいかにとくべつな作品なのかということを思い知る、ほんとにありがたい時間でした。なむなむ。そして年内はずっと『たけくらべ』のゲラに向き合うことになります。もうちょっとだけしあわせな時間が続きそうでうれしいけれど、でも、何よりも、みなさんにはやく、はやく読んでほしいなと思える仕上がりになりそうで、それも嬉しい予感です。

 いずれにせよ、現代語訳をすることになった経緯とか、訳すにあたっての様々な思案と実践、思い込み、気合い、などなどは、いずれまた刊行のときにたっぷり、ほんとにたっぷりとお話できる機会などがあればいいな! と思っております。できればいいな。

 それで、話が前後ちゃいましたが、

 今回の現代語訳は、河出書房新社から刊行されます「池澤夏樹=個人編集 日本文学全集」のなかのひとつなのです。特設ページはこちら。ラインナップを眺めるだけでうっかりうっとりしてしまう&面白さはもうこれ約束されているようなあんばいなのですけれど、先日、第一巻が刊行されました。

 池澤さんによる新訳『古事記』

 

kojikiIMG_6873

 素敵な桃色に金色の鳥の箔押しがなんとも雅なたたずまい。装画は、拙著『先端で、さすわ さすわ そらええわ』の表紙でも絵をお借りしたことがあります、現代美術家の鴻池朋子さん! 混沌&うねうね&いのちの諸々がねっとりあっさり爆誕するイメージが鴻池さんの絵にぴったり。どきどきしますわね。さらに、この全集にまつわるさまざまなイベントなども目白押しらしく、こちらでチェックしてくださいませなー!!

 

 

 さて、わたしの四大ミューズといえば、樋口一葉、ジョディフォスター、青柳いづみ……そして葛飾応為なのですが、その応為の絵をじかで見ることのできるほんとに数少ない機会ゆえ、燃え尽きた心身をずりずり、上野の森美術館まで行ってきたのでありました。もちろん北斎もめさめさ楽しみだけれど、やっぱ応為!!!!

 

hokusaiIMG_6836

 

 連日2時間待ち!とかっていう話だったので、午前中いちばんのり!のつもりが思い切り出遅れて午後になってしまっていったいどうなることかと思ったけれど、この日はなぜかすいていて10分とかでするする入場。

 

 narabiIMG_6837

 

 しかし開場はさすがの激込みで隣の人の息がほおをしっとり湿らす近さ。けれどもみんなの譲り合いの精神がぽかぽかと発揮されて、予想以上にひとつひとつをゆっくりたっぷり見ることができました。富嶽三十六景は当然の人気でもちろんやけれども、個人的にぐっときたのはやっぱり『百橋一覧』。「一枚に橋百本描いたる!」っていうのがええやん。ほんで最後の別名の『画狂老人卍』も意味不明っていうか意味わかりすぎるっていうか、なんてゆうかすこぶる2014年的でもあってぴったりやん。きてれつ北斎、切ないやん。北斎のこと思ったら、「何かを作って生きてる人間は死なない程度に今日が何もかもの初めての日という気持ちでがんばろう」ってな気持ちになりますやん。

 

Ô0ü0¿0ü0û0â0ü0¹0³0ì0¯0·0ç0ó00~vKj

 

 ほんで、北斎の花といえば、『紫陽花に燕』もいいけれど、やっぱ『芥子』!この風!……。

 

20141004110929be9

 

 で、タイミング的には旧吉原ではあるけれど、やっぱり気になる一枚『吉原遊郭の景』。しかし左下ふたり女性だけ体が極端に小さいのは何でやのん。そういう気分だったのだろうか。まあとくに珍しいことでもないのだろうけれども、かむろやろうけど、格好からしてかむろにみえへんのが不思議やし、新造にしたら体が小さすぎる気がするし。

 20141004110726f2a

 

 そしてそして今回のわたしの本丸、見たくて見たくてしょうがなかった、念願の、葛飾応為『三曲合奏図』。もう、何も言うことはありません。素晴らしかったです。残りの絵、いつかぜんぶ見ることができる日はくるのだろうか。とはいえ、花の絵がいま長野に来てるし、カナダの作家、キャサリン・ゴディエによる小説『応為と北斎』も刊行されたし、杉浦日奈子さんの『百日紅』もアニメになるという話もあるし、なにげに応為づいてはいるのよね! この機会に、ぜひとも山本昌代さんの『応為坦坦録』も復刊してくれ!!

 20141004111110d33

 

  そしてわたしはまた原稿書き&ゲラの毎日へ……。応為、一葉、最高最高ありがとう。

2014.11.10

お手紙をくださった彼女たちに

 

 『きみは赤ちゃん』を刊行してから色々なところでたくさんインタビューをしていただいて、そのつどに色々な話をしてきたのだけれど、デビュー当時からずうっと読んでくださってるという女性の方たちからも、うれしいお手紙やメールがたくさん届きました。

 

 みなさんのお手紙には共通する部分があって、それは『<どうして子どもをもとうと思ったのか>について、いつかどこかで書いてくれな」ということで、というのも、過去のインタビューや対談やエッセイなどで、わたしは「子どもをつくることにたいして、かなりの躊躇がある」というようなことを、書いたり話したりしてきたからなのでした。

 

 きっと最初からの読者でいてくれる彼女たちは、そんな考えかたというか気分というかに共感してくれる部分があって、そのうえでその変化というか、思い切りについて知りたいな、と思ってくださったのだと思います。そして「自分もいま、子どもを生むべきかどうか、すごく悩んでいる」と手紙には書かれてあって、たぶん、わたしについてだけじゃなく、子どもをもつことについての色々な考えかたにふれたいなと思ってらっしゃるのかもしれません。

 

 わたしが子どもを、もつ、というよりは存在させることを手放しでいいことやな、と思えなかったのは、社会との関係とか、自分が親になれるかどうかとか、そういう具体的なものではなくて、もっともっと単純なものでした。相談もなしに誰かをこの世界に一方的に登場させてしまうことが、すごく、なんというか、あまりにものすごすぎることのように思えて、こっちの勝手な思い込み&価値観だけで、とりかえしのつかないそんなことをやってしまってよいのか、という疑問が、子どものころからべったりはりついて、それが拭えなかったからでした。たとえば、おなじ子どもを育てるのであれば、無いところに有るをつくるより、すでに生まれてきてしまって親を必要としている子どもを養子にするほうが、なんというか、どちらかというといいことなんじゃないかと、そんなふうに思えていたのです。

 あとは、自分の母親にたいする気持ちも、けっこう大きな問題でした。

 そんなふうに十代、二十代を過ごしてきて、三十代で色々な環境の変化があって、それにともなってわたし自身にも変化があり、そして35歳でわたしは自分で選択して、妊娠、そして出産するわけなのですが……。

 

 先日、雑誌「kodomoe」さんでインタビューを受けました。

    これまでたくさん作品や自分のことについてお話する機会はありましたが、今回のインタビューは、分量もたっぷりある記事ということもありますが、これまでとはちょっと違った雰囲気&内容になったと思います。インタビュアーは、島﨑今日子さん。これまで「なんていい記事なんだろう、なんて読み応えのあるインタビューなんだろう……」と思えばかなりの確率でそれが島﨑さんのお仕事だったということもあって、当日は緊張しながら、そして本当に楽しい時間を過ごすことができました。

 

 いつだったか、誰かが言っていたことで印象に残っているのですが、いいインタビュー記事というのは、まとめが上手だったとか、うまく着地させることができているとかそういうことではなく、話す側が自分でもまるで想定していなかったことを話し(取材される機会が多いと、質問にたいする答えを自然に用意するようになってしまいます。よくも悪くも見取り図ができてしまうのです)、一見脈絡なくみえるいくつかの話のなかの文脈を見極め、インタビュイー自身が知らなかったこと、まだ言語化できていなかったことをまるで導かれるようにその場で言葉にしてしまい、それが活字になったようなもので、今回は、本当にそうとしか言えない体験でした。

 

 心のこもったお手紙をくださったみなさんへ、そして、いつも版元にお手紙を送ってくださるみなさんへ、本当は、おひとりおひとりにお返事差しあげたい気持ちなのですが、なかなかそうもできなくて、ごめんなさい。そして、ずいぶん遅くなって、ごめんなさい。今回のロングインタビューが、みなさんがお手紙に書いてくださった質問への何かしらのお返事になっていれば、とてもうれしいです。どうぞよろしくお願いします。

 

hyoushi_shusei_400

 

2014.10.30

つくる男とつくる女、絵本の寄り添い、そして無理すじの桃太郎

 だんだん寒くなってセーター着たらちくちく、かゆかゆ、いつのまにか発生する毛玉って食器を洗うスポンジでさっさっとなでるだけできれいにとれてしまうらしいね、試したことはないんだけれど。

 

 ただいま発売中の VOGUE JAPAN 12月号に、阿部和重×川上未映子で登場しております。VOGUEの今号のテーマは「男と女」ということで、「つくる男とつくる女」という特集で、ふたりでインタビューを受けました。内容は、創作や生活において男と女のあれこれがどうなっているか、などなど様々な感じになっております。ポートレイトも掲載されており、撮影は操上和美さん。撮影の現場は素晴らしくあっと瞬くまでしたけれどもまたいつかみなさんとご一緒したいと思えるすてきな時間でした。今号&記事の詳細はこちらでも。

 

 ……ところで、『きみは赤ちゃん』のインタビューなどで、「で、この本を読んでの阿部さんの感想って、どんな感じですか……」と聞かれることがほんっとに多いんだけれど、じつはあべちゃん、まだ読んでないんだよね……。そう言うと「えええええええ」と驚愕し、そして「そ、そんなことがあっていいのか……」と心の底から震えてくれるんだけど、そう、あべちゃん、まだ読んでないんだよね! なんかすっごい忙しかったみたい。でもきっと、いつか読むはず……。

 

B08Ec7kIAAA7Fx9

 

 そして、玄光社さんより発売されております『子どもと一緒に読みたい絵本』にエッセイを寄稿しました。

 

9784768305591

 

 子どもを絵本を読むということが連れてくる摩訶不思議でありつつも、しかしとてもとてもよく知っている感覚について書きました。おすすめの絵本、そしてわたしと絵本の思い出についてもふれています。

 絵本って、めさめさあるけど、おなじくらいどれにしようか迷いますよね……しかしこれがあれば安心だ!まるで絵本のエキスパートたちが寄り添って「これはどない……」「これもええで……」と(大阪弁ではないけれど)あれこれ教えてくれているような、そんな温かさにみちたすてきな一冊なのです。絵本対策はこれで安心! 絵本のことはまかせとけ! ぜひお手にとってご覧ください!

 

 今日も明日もインタビューで、来月にはトークショウもありますし、年内はまだまだ『きみは赤ちゃん』モードのわたしなのだった、なむなむ。そしてAmazonでは相も変わらず品切れだけど、しかしこの数ヶ月でAmazon品切れ耐性がばっちりついたわたしはもうそんなことは気にしない。そうしているうちにいつだって10月は退場なのだけれど、来週発売される週刊新潮には、義家衆議院議員による、池澤夏樹さんの桃太郎解釈批判について書きました。そして文庫版『すべて真夜中の恋人たち』も、さっそく重版のお知らせが。冬にむかう秋のはじまりに、読んでくださってるのがすごくうれしい。ありがとう……ああ、ほかにもお知らせがあったような気がするけれど、こぼれていたらまた追って! いまからスパゲティ食べ食べ取材にいってきまうまだ、着るもの迷う、シーズンだよね。

2014.10.29

『きみは赤ちゃん』トークイベント開催します!

 何度かお伝えしてまいりました『きみは赤ちゃん』のトークイベントの詳細が決定いたしましたので、お知らせいたします!

 

 hontoプレゼンツ『川上未映子トークショウ』

 日時 11月29日(土)

 場所 ドットDNP市谷田町ビル2階イベントスペース

 開場 10:00

 開演 11:00〜12:00

 応募方法 こちらから!

 お子様&赤ちゃんも大歓迎! 無料です!

 

 お申し込みは11月17日までで、抽選の結果、当選されたかたへメールを差し上げます。当日は東京FM『Hello smile cafe』の公開収録もかねております。みなさんとお会いして、『きみは赤ちゃん』の話はもちろん、いろんなお話できるのを楽しみにしています。よろしくお願いいたします!

 

2014.10.08

秋の、さまざまなお知らせ

 空気の低いところ深いところをよく知ってる知らない匂いが流れて秋だね。
 腕ひんやり頬だけ熱くて、刺繍糸、気づけばぜんぶどっかにいった。

 今日も今日とてお知らせが!
 
 

 『中原中也研究 19』
 去る四月に中原中也記念館で行われた穂村弘さんとの対談「中原中也、その愛と魅力と謎」を収録されております。すべてそのままの採録となっておりまして、それぞれがとりあげた作品の読解、いわゆる中也の「名辞以前の謎」について、「春の日の夕暮れ」の冒頭のせんべいって何ですか問題、あとは子どもを亡くした体験とその詩作との関係について……などなどてんこもりですので、中也に興味あるかたはぜひ、お読みくださいませ。そして、こちらは基本的に中原中也記念館でのお取り扱いになっておりまして、
それ以外では、

東京/西秋書店、中央大学生活協同組合書籍店 
埼玉/ポエトリーカフェ武甲書店 
長野/譚詩舎 
愛知/ウニタ書店、精文館書店 
京都/三月書房
山口/文榮堂本店・山口大学前店

となります、よろしくお願いいたします!

 
○ 『新潮』11月号
 新潮新人賞の選評を寄せております。
 受賞は、高橋弘希氏「指の骨」。
 全選考委員一致での授賞で異例の早さで決定しました。
 ぜひ、お読みくださいませ。
 
○ 『SPUR』11月号
 モードとともに25年。ここで改めて基本に立ち返って、素直な気持ちで聞いてみた。ワールドワイドな100人に質問 「あなたにとってファッションってなんですか?」に答えました。ぜひご覧くださいませ。
 
○ 『MAMA MARIA』vol.2
 蜷川実花責任編集のママ雑誌! 
「今までのママ雑誌がしんどい」そんな働くママに捧げます!
 実花さんとの対談で登場しております。
 子どもをどのように育て、また教育すればよいのだろうか……私立に通わせるのか、公立でよいのか。
 お受験&幼児教育などなどそういうことにいっさい興味のないわたしだけれども、
 一生懸命あれこれ考え、実花さんと真剣に語り合いました。
 生んで数年ではやこのような事態が待っているなんてのう……。
 ぜひ、お読みくださいませな。

紗栄子、岩堀せり、紗羅マリー、鈴木えみ、内田春菊、西原理恵子、川上未映子、大竹しのぶ、君島十和子、小島慶子、神崎恵・・・他のママ雑誌では到底登場しないメンバーが、責任編集の蜷川実花とともに、自己の体験を赤裸々に明かしつつ、働くママのリアルな現状、子育てと仕事について語りつくします。
「専業主婦は薄い氷の上に存在している幸せ」
「仕事は自由の翼。子どもが生まれたからといって手放してはダメ! 」
ファッションやメークだけではない、全く新しいMAMAムックの第2弾です。

 
○ 「フランスで読まれる川上未映子」
2014年11月19日 
18:00?20:30
日仏会館 一階ホール
一般公開、入場無料

お申し込みは、こちらから!

【趣旨】
作家、川上未映子の作品は近年フランスで高く評価されており、また、現地のフェミニスムの観点から興味深い読みがなされていることもある。翻訳者パトリック・オノレとの対談では、具体的な例を挙げて、翻訳を通じて作品がどのように解釈されているのか、どのような読者層の支持を得ているのかを紹介する。また、作者本人がフランスでの反応に対しどのような印象を抱いたのかを考察する。

【ディスカッサント】 パトリック・オノレ(翻訳家)
【司会】 関口涼子(作家、翻訳家)


Warning: Invalid argument supplied for foreach() in /home/kmieko/mieko.jp/public_html/wp-includes/script-loader.php on line 2781