川上未映子

2016.04.12

春だった

 

 昨日の寒さにはびっくりしたけれどしかしたしかに春だった。ここ10日間ほどわりにひどい風邪をひいていて、治ったかなと思ったらぶり返し、それもおさまったかなと思ったら巻き返し、みたいな感じでじつに冴えない日々なのだった。しかしわたしの冴えなさをこころゆくまで楽しむ、ということはわたしの人生においてもう許されないのであって、難儀なことです。

 

 ただいま発売中の『Frau』5月号に、1万字インタビューが掲載されています!すごいヴォリューム、そしてポートレイトも載っております。ぜひ、お手にとってお読みくださいませ。

 

 そしてただいま発売中の『文學界』は新人賞発表号です。受賞作は渡辺勝也氏『人生のアルバム』、砂川文次氏『市街戦』。おめでとうございます。同号に、選評が掲載されています。

 

 先日、拙作『あこがれ』が、第一回渡辺淳一文学賞を受賞して、そのお祝いのお花が家にあふれていてわたしは本当にうれしい。なんという花のかわいさだろう。胡蝶蘭、ばら、ユリ、なにもかも。こうしてお花が盛り盛りと家に届くと十日間ほど至福の時間を過ごせるのだけれど、しかしみながいっせいに枯れてゆくさまはそれはそれでけっこう淋しいんですよね……写真は、大好きなル・ベスベさんのアレンジメント……!

 

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  そして映画『グレムリン』のご存知ギズモ……!知らないうちにこの映画が大好きな息子が撮っていました。ところでこのギズモって壮絶な絶壁頭で、撫でてると他人事と思えないんだよね。今度横から撮ってみます。

 

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 若いとき、桜は大変なものだった。今でもその理由はわかるけど、しかしこのあいだ猛烈に咲く桜の樹の下を車でくぐり抜けたとき、やられる感じはもうしなかった。この花の、どうもこの世のものではないような雰囲気を、時間の柔らかな底をすっかりさらって胸にそっくり移し変えるその手つきを、今やわたしは堂々と無視し、そしてうたた寝さえしてみせたのだ。