2005.03.27
私はゴッホにゆうたりたい
春が煙っておる。なんか立ち込めている。
何でもないよな一面をさあっと塗ったようなこんな空も、
ゴッホには、
うろこみたいに、飛び出して、
それは憂う活力を持ち、美しく、強く、見えておったんやろうか。
春がこんこんと煙る中
私は、
ゴッホにゆうたりたい。
めっちゃゆうたりたい。
今はな、あんたの絵をな、観にな、
世界中から人がいっぱい集まってな、ほんですんごいでっかいとこで
展覧会してな、みんながええええゆうてな、ほんでな、どっかの金持ちはな、
あんたの絵が欲しいってゆうて何十億円も出して、みんなで競ってな、なんかそんなことになってんねんで、
パンも食べれんかったし最後のパンも消しゴム代わりに使ってな、
あの時もどの時も、あんたはいっつもおなじように、描いててな、苦しかったな、
才能って言葉は使わんとくな、なんかの誰からかの命令なんかな、
なんか使命なんかな、
多分絶対消えへんなんか恐ろしいもの、恐ろしいくらいの、美しい、でも苦しい、
そういう理みたいな、そんなもんに睨まれてあんたは、
いっつも独りで絵を、絶対睨まれたものからは絶対逃げんと、や、逃げる選択もなかったんかな、
それでもとにかく、絵を、絵を描いて、
そら形にするねんから、誰かに認めてもらいたかったやろうな、
誰かに「この絵を見て感動しました、大好きです」
ってゆわれたかったやろうな、
それでもいつまでも独りぼっちでよう頑張ったな、淋しかったし悲しかったな、
それが今ではあんたは巨匠とかゆわれてんねんで、みんながあんたをすごいすごいってゆってほんで、
全然関係ない時代の日本に生まれた私も、あんたの絵が大好きになった、
教科書にも載ってるねんで、
夜もな、空もな、ベッドの絵もな、麦畑も、月も、デッサンいっぱい練習したやつもな、
全部観たで、きれいなあ、あんな風に観てたんやなあ、
みんなあんたの生きてきたことを知ってるねんで、
耳をちぎったことも、キチガイ扱いされたことも、
悲しくて悲しくて悲しくてしょうがなかったこと、
そんなあんたが書いた絵が、ほんまにほんまに美しいことも、
今はみんな、あんたのことを思ってんねんで、
私の知り合いの、男の職業絵描きの人とな、
随分前にあんたの話になってな、
私はあんたの生き様、芸術って言葉も使わんとくわな、
もう、それをするしかなかったっていうものと死ぬまで向き合ってな、そういう生き方を思うと、
それ以上に、なんていうの、ほんまなもんってないやろって思うわ、私は信頼するわって話をしたん、
そしたらその絵描きな、未映ちゃんがそう思うのは全然いいけど、
あんな誰にも認められんで苦しくて貧しくて独りぼっちでゴッホが幸せやっと思うかってゆわれてん、
俺は絶対にいらんわってゆわれてん、
ほんでそっからしばらくあんたの幸せについて考えてみてん、
幸せじゃなかったやろうなあ、お金なかったらおなかもすくし、惨めな気持ちに、なるもんなあ、
おなか減るのは辛いもんなあ、ずっとずっと人から誰にも相手にされんかったら、死んでしまいたくもなるやろうな、
いくら絵があっても、いくらあんたが強くても、しんどいことばっかりやったろうなあ、
そやけど、多分、
あんたがすっごい好きな、すっごいこれやっていう絵を描けたときは、
どんな金持ちよりも、どんな愛されてる人よりも、比べるんも変な話やけど、
あんたはたぶん世界中で、一番幸せやったんやと、私は思いたい。
今はみんながあんたの絵を好きで、世界中からあんたが生きてた家にまで行って、
あんたを求めてるねんで、
もうあんたはおらんけど、今頃になって、みんながあんたを、
今頃になって、な、それでも、あんたの絵を、知ってんねんで。知ってるねんで。
あんたは自分の仕事をして、やりとおして、ほいで死んでいったなあ、
私は誰よりも、あんたが可哀相で、可哀相で、それで世界中の誰も適わんと思うわ
あんたのこと思ったらな、
こんな全然関係ないこんなとこに今生きてる私の気持ちがな、
揺れて揺れて涙でて、ほんでそんな人がおったこと、絵を観れたこと、
わたしはあんたに、もうしゃあないけど、
やっぱりありがとうっていいたいわ
だからあんたの絵は、ずっと残っていくで、すごいことやな、すごいなあ、よかったなあ、
そやから自分は何も残せんかったとか、そんな風には、そんな風には思わんといてな、
どんな気持ちで死んでいったか考えたら、私までほんまに苦しい。
でも今はみんなあんたの絵をすきやよ。
私はどうにかして、これを、それを、
あんたにな、めっちゃ笑ってな、
ゆうたりたいねん。
ゆうたりたいねん
投稿:by 未映子 03:14 PM [文化・芸術] | 固定リンク
トラックバック
この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/50003/3459046
この記事へのトラックバック一覧です: 私はゴッホにゆうたりたい:
» 20050914 三月十四日・ニューヨーク・MOMA=セントラルパーク [田 原 書 店 から]
ニューヨーク・SXSW@オースティン,テキサス 20050313-0321 そ 続きを読む
受信 Oct 21, 2005 10:38:25 AM
» 広重と印象派 [食卓から愛をこめて から]
先日の日曜日、TVで「日本の心の旅SP・蘇る浮世絵ロード」という番組がありました。
女優・壇れいがフランス印象派の画家たちに影響を与えたという日本の浮世絵をたずさえ、巨匠たちのゆかりの地フランスを旅するという美術紀行。
今年は歌川広重の没後150年ということで、代表作「東海道五十三次」全55図が彫師たちにより3年の年月をかけ完全復刻されたことも重要なポイントのようです。
印象派の絵が大好きな私、録画して3回観ました。
印象派の絵画が多く展示されているパリのマルモッタン美術館とオル... 続きを読む
受信 Jan 29, 2008 2:55:04 PM
» 珍しく文芸 [カサカサの感想ハダで備忘を保てるか から]
今朝テレビでNHKの「生活ほっとモーニング」を見た。
トークゲストが作家の川上未映子氏とダンサーの森山開次氏。
川上氏は芥川賞を受賞後(当然ながら?)露出が増え目にする機会が増えた。インタビュー企画なのでこれまでを振り返る映像も紹介され、
芥川賞ニュースのときにもミュージシャン映像が流れたが、
今日改めて見ると、そのパフォーマンスは声の強さが印象に残った。
... 続きを読む
受信 Mar 4, 2008 3:17:34 AM
» 川上未映子『乳と卵』はブログ文学だ [今夜、知財の片隅で から]
なんとなく思い出したように、今年の芥川賞のでも読んでみっかなーと思って川上未映子『乳と卵』を読んだのだけれど、正直、なんかキレイな人やんけーと思って惹かれた部分もあるのだけど、思わぬ衝撃を食らった。前評判では、新しい文章スタイルだとか、現代の樋口一葉だと... 続きを読む
受信 Jun 4, 2008 6:52:14 AM
» 川上未映子 [Akira's VOICE から]
「乳と卵」
「先端で,さすわ さされるわ そらええわ」
「わたくし率 イン 歯ー,または世界」
「そら頭はでかいです,世界がすこんと入ります」 続きを読む
受信 Aug 8, 2008 12:57:42 PM
» 未映子の純粋悲性批判 わたしはゴッホにゆうたりたい 川上未映子ファン必読です。 [TWO 2 SIXTY から]
http://www.mieko.jp/blog/2005/03/post_3.html 続きを読む
受信 Jan 7, 2009 4:32:43 AM
» ブログ+岡田と検索=フォレスト [CANAR!A+Movie Life から]
《太宰治原作『パンドラの匣』映画初出演の川上未映子。”かるみ”をテーマに表現》
そこで、引かれたのは小説家の川上未映子の意外な出演。いつだったか、彼女のブログを拝見して、...... 続きを読む
受信 Oct 17, 2009 1:47:45 AM

















「そら頭はでかいです、世界がすこんと入ります」
「本棚」
「薔薇は生きてる」山川弥千枝
「道徳は復讐である~ニーチェのルサンチマンの哲学~」永井均
「文藝」 2010年5月号
「ドラえもん 5 (藤子・F・不二雄大全集) 」 藤子・F・不二雄
papyrus (パピルス) 2010年2月号
「クロワッサン」2010年1/10号
ミセス 2009年11月号
BRUTUS (ブルータス) 2009年11/1号
劇的クリエイティブ講座
SWITCH 2009 SPECIAL ISSUE「NEW FRONTIER 開拓者たち」
KISHIN:BIJIN BIJIN of THE YEAR 2009
marie claire (マリ・クレール) 9月号
装苑 8月号
FRaU 8月号
群像8月号
新潮7月号
人間失格ではない太宰治 爆笑問題太田光の11オシ
文学2009
ユリイカ2009年4月号
現代詩手帖 2009年1月号
早稲田文学2号
VOGUE NIPPON(ヴォーグ ニッポン) 2009年01月号
ユリイカ 2008年12月号
モンキー ビジネスvol.3.5 ナイン・ストーリーズ号
潮 2008年12月号
VOGUE NIPPON (ヴォーグ ニッポン) 2008年10月号
ラブコト 2008年 9月号
文藝春秋 2008年 9月号
PLANTED(プランテッド)#8
「広告」9月号 特集 ことばエネルギー2
CREA 2008年 9月号
文学界 2008年8月号
新潮 2008年8月号
Rocks 創刊号
yom yom (ヨムヨム) 2008年7月号
「CREA (クレア)」2008年7月号
「papyrus (パピルス) 」2008年6月号
「日経ビジネス Associe (アソシエ)」5/20号
「BRUTUS (ブルータス)」5/15号
「モンキー ビジネス」2008 Spring vol.1
「早稲田文学」 1
「ダ・ヴィンチ」2008年5月号
「M girl」'08春夏版
「ユリイカ」4月号 特集・詩のことば
「CLASSY. (クラッシィ) 」5月号
「papyrus (パピルス) 」2008年4月号
「週刊文春BUSINESS」4/16号
「小説トリッパー」2008年春季号
5px 10px 0px界」4月号
「日経エンタテインメント」4月号
「ニッポンの笑い VOW!!」
「ダ・ヴィンチ」2008年2月号
「広告批評」2008年1月号
「早稲田文学WB」vol.011
「planted」#6
『ダカーポ』最終号
『文學界』12月号
『セオリー』vol.12
『Hanako West』12月号
『Real Design』12月号
『すばる』11号
『WB』vol.10
『en-taxi』vol.19
『アスペクト』
『CREA』10月号
『音楽の詩2』創英社
新潮 9月号
群像 9月号
S-Fマガジン 2007年9月号
アスペクト
<超短編6>
「ユリイカ」特集・石井桃子一〇〇年のおはなし
アスペクト
<早稲田文学>復刊0号
「早稲田文学」vol.7
「VOW POP Vintage!?街のヘンなもの大カタログ」
<文学2007>
「ユリイカ」特集・理想の教科書
「ダ・ヴィンチ」
「ダ・ヴィンチ」
「ユリイカ」
「クイック・ジャパン」
「ダ・ヴィンチ」
「ユリイカ」

