2006.06.05
オッカムの剃刀ング
私は目の上で空が分割し始めたらば
慌てず
オッカムの剃刀を机の引き出しから丁寧にとりだして
ほれぼれするほど傷ひとつない刃を眺めて
右手に握る
人を
それも大事な人を ボコボコにしばき殴り続ける夢を見る時期があって
今が多分にそのときであります
顔から血が出て
なんか痛がってて それでも私の怒りはなんでかおさまらず
殴りに殴り続ける
殴ったうえから足で踏みつけ
また踏んで 踏み踏みを繰り返して
手が痺れていたので棒かなんかを振り下ろす まだまだ やる
そんなことをしている夢の中の私は自分自身が気味悪うて吐いている
じっさいの私は映画や本でも
激しい暴力の描写がとても苦手で というよりは憎んでいるといってもいいくらい
嫌悪しているというのにもかかわらず
大切な人を死ぬ間際までしばきあげる夢を定期的に見るのです
夢はものすごい濃度で体に留まっているので
なので寝起きはとてもつらい
じっさいのこの世界に馴染むまでに
ものすごく時間がかかる
すると
空が分割し始めるので
ユングやったらどんな解釈をするか知らんが
私にはオッカムの剃刀が右手
しゃっ!と切り裂いたなら
単に
「夢の中で私は腹が立って、それで相手を殴り倒した」
というそれだけのことであるということが
その時に世界の事実になる
分割や分析や誤解や行き違いや疑問や系統を見つけたら
私はすぐさま飛んで行ってオッカムの剃刀を振り回す
しゃっしゃっしゃーと切り刻めば
単純な出来事ばかりがおなかの上にはらりと落ちてくる
ああそれは
とてもとても美しい事実
花が咲いている
お腹が減っている なぜならまだ朝食を摂っていないから
犬は黙っている (ように見える、という考えは剃刀で切り落としたのです)
私は嫉妬している
空が広がっている
今日も一日
暑くなりそうだ
投稿:by 未映子 07:59 PM [詩] | 固定リンク | トラックバック
2005.10.02
結ぼれ
・ ・・・・・・
病院に足繁く通っていたとき
悲しくて悲しくてどうしようもなかった
時計の数字は勝手に笑いやがるし
それぞれの数字が前の数字を追いかけあって
けども絶対に追いつかないので
それぞれが小さくおおぐるいしているのを
私がまいにち 責任をもって観察していた
人々の話し声は
まるでドラえもんの「声カタマリン」みたいに硬くて大きくて
私めがけてどこからでも飛んできた
私はいつもよけるのに必死
地面がちりちりゆれて発光してた
壁に刺してる青い街の写真がゆれて
鏡をみたら心臓が「わたしもうやめる、限界」
と口の中から懇願したり
私の腕を刺した蚊が可哀相で その蚊の母親を探してやりたくて
がんばったけど無理で自分を責めて腕を切った
せめて蚊に血をいっぱいあげたくて
病院の奥にいる人々は
目の周りを真っ黒にぬらして
誰もかれもが大変に苦しそう
ソファに座ってる赤いジャージに皮のジャケットの男の人は
よくみる顔
自分のちじれた汚い髪の毛を唇に挟んで
なんかを呪ってるようでそれは悲しい悲しい目をして
とってもなんか悲しそう
だけどもおたがい喋りたくはないのですから
わたしたちはかまわず 点々で
そんなこんなで月から金はあっというま
またまた診察の日はやってくる
お薬が切れるとだめだからね
病院へいってちゃんと続けることが我々にとっての大事なのです
ある日
病院へむかうある日
私はすこぶる気分がよくて
目の回りにいっぱい赤いお化粧をした
おでこのあたりも赤く塗って
鼻の際まで真っ赤に塗った
それを見た斎藤くんはぎょっとした
そう
病院へ行く日は斎藤くんが仕事を休んでいつもついてきてくれたのです
ぎょっとした斎藤くんをみて私がぎょっとした
なんでなんでなんでそんなかおでなんでなんでそんなかおしてわたしをわたしをみるんなんで
それからすごく悲しくなった
それから怒りが津波となってからだをさらってのみこんで
死んでしまいそうになった
私は気分がよくって
せっかく おめかししようとお化粧したのに
ぎょっとした斎藤くんをボコボコと殴って責めると
斎藤くんは「最高にかわいい」といってくれ「だいじょうぶ」
顔のほとんどが真っ赤な私を自転車の荷台に積んで
中目黒への坂道をじゃーっと下っていった
先生は「今日はすごいね」と目を丸くしていったが
斎藤くんは「最高にかわいい」といったので
少し悲しくなりかけたが私はそれには動じなかった
診察はけっこうハードで
診察といってもべらべら ぽつぽつ お話するだけ
では何がハードかというと
思い出の出方がハードであり 先生の目の動きがハードであり
先生の話の切り上げ方がハードであり
そして一番はやっぱり蘇る匂いと子供の声がハードなのだった
小さいけど大きい 何もかもが
ああ あらゆる時制の 大ぐるい
帰り道 私はうつむいて「もういかんとく」といった
斎藤くんは「そんなんいうな、がんばろう」といった
「だってこんなん続けたってしゃあないやんか、
泣いてるだけでいつまでも弱いだけや、
見捨てられ不安症とは先生も治らんてゆうたやんか」と叫ぶと
「あほか、よくなってる、だいじょうぶや」といった
病院に来ると帰り道 自分が本当に情けないどうしようもない
なんの処置もない人間に思えてしまうのです
よく知らない人に話を聞いてもらうことのいやらしさ
そのくせ話し出すと止められなくなる都合のよさ
狭い部屋で開放されたと勘違いする自意識の
その お目出たさ
私は情けないのと悔しいのと
自分のことがもういやだと思う気持ちとで興奮して
人々が行き来するところで私は
自転車をほうり投げて泣き出してしまった
ををーんと泣くと斎藤くんは
「おなかが減ってるからや」といって自転車を拾った
私はパンが好きではないけど
すぐ近くにあったので「あそこにしよ」と
フレッシュネスバーガーに連れていってくれた
パンのことはよくわからんから斎藤くんが頼んで
私は来たものをどきどきしながら食べた
顔が真っ赤なので人は私の顔をちらちら見ていた
指もさされた
私は急に心細くなって 下を向いてると
斎藤くんが「これ飲み」といってなんかをくれた
「私がこんなんで恥ずかしいやろ」ときくと
「どこにいってもすぐわかるからええわ」といって笑った
パンはすっごいおいしくって
「おいしい」というと
斎藤くんはすごく嬉しそうだった
そして
「今度から病院に来たら、
帰りにはいっつもここに来るって、決めようか」
ってにこにこ笑って私にいった
私はそれを聞いて聞いて
悲しいやら嬉しいやらで 涙でパンがもろもろになるまで
泣いて泣いて泣いて泣いた
・・・・・・・・・
投稿:by 未映子 12:14 AM [心と体, 詩] | 固定リンク | トラックバック
2005.05.31
宮沢賢治、まるい喪失。
なんでか「永訣の朝」の茶碗が浮かんでまうわ。
夕暮れはなんだか青いぼんやりが、
ぴりぴりと震えてて、
コンビニに行ったはええが、街が震えてるわ。
空がモネ調やった。
とっさに、や、別にとっさでも全然なかったけど、
私はなぜか、宮沢賢治は賢治でも、
春と修羅のほうが青い感じがぞんぶんにしてさ、
そういう電飾の震えて揺れる、空気がちりちりと青く燃えて、
そういうもの、
そのものやのに、
永訣の朝の茶碗が浮かんでしまうわ。
あれって青い茶碗やったけか。
なんかしーんとしてなあ。
ちょっと前に、
NHKで子供のすごい達者な子が、
ちゃんとプロデュースされた空間で、
「風の又三郎」は小錦とで、
二つ目は「永訣の朝」を、
朗読っつうか、芝居っつうか、
雪降らしてやってたの見ました。
宮沢賢治の詩には子供の声が合いすぎて、
この世のものとはちょっと違う発光をしていた。
独特の光り方をして、
それを見止めたときに、
懐かしいでもなく、悲しいのでもなく、
降って来る雪の玉と自分との境目が、なくなるような、
そんなまるい喪失があった。
子供の死と、
子供の詠う詩って、
なんか同じところから来て同じところに帰っていくみたいで
そやけどそれはもう、
絶対私らにはもう、わからん場所で、
永遠に私はそれを失ったような実感がしたんやなあ。
投稿:by 未映子 10:00 PM [本, 詩] | 固定リンク | トラックバック
2005.05.28
僕はもう、うきうきしない
そのいたいけな感受性とやらを瓶につめ
高値で どうですか
意思は
極端なものを美しいとい思う癖があるので
そのころなんでも美しかった
我々
体があるから
まるで体を持ってないかのような言葉遊びは
美しかったね
我々
精神があるから
気分の染み込む余地のない即物めいた肉体も
それはたいそう
美しかったね
ああ、この、
どうか一緒に
感じてはくれないか
くれないだろか
この
そう
始めも終わりも
ない感じ
そのいたいけな感受性とやらを箱につめ
適当な住所書いて
送ったれや
投稿:by 未映子 10:15 PM [詩] | 固定リンク | トラックバック
2005.04.28
夜は生きてる
充電器が挿しっぱなしのはずがなんでないのん
電話が死んだらそれはそれでも もういいけど
ああ 苦しい
無音が苦しい
なんで苦しい
歯がいっせいに動き出しそうな不安
人はたいがいが
幸せになりたいと思うもので
そうだもんで人は
幸せな人を見たり明るい明日を想像すれば成功出来ますよ話を聞いたり
なんかパワーがもらえるわーとかゆって好きやというけれど
同じくらい人の不幸も好きな癖にな
自分より不幸な人もすんごい好きな癖に
気持ちになんで駆け引きが必要なんかなあ
占いとかでいう 基本的な相性などというものは
ひょっとしたら有効なんかなあ
誰と誰が生活してるのん 世の中って
自分と誰か って思ってるけど
案外自分と自分なんちゃうんか
起きてるのが辛いからドリエル
ドリエルってさー、
どうなん
少ないくせに高いよなあ
あんなん効くかあとかゆわれるけど
わたし 十分 効くねんなあ
夜は生きてるから
注意してよね
ほいでまた感情もな
あまのじゃくとかさあ
ここでこう云うのはしゃくやからとかさ
こう持っていくためにはこうこうこうやって
とかさ
くーだらんくーだらんなあ くーだらんのに
くーだらんことやってるねんもんなあ
気分よ 気分
全部気分が悪いんよ
夢中になってるときは
元気やのにね
なんてまあ 複雑な世界を我々別段、
特訓も受けたこともなしに生きてるものよ
だからだいたいが、うまくいかんものかも知らんけど
考え方がもともと暗いっつうか、
現状が不幸な人も
全然 引け目など感じずに
生きていこうよ
という詩ですよ
投稿:by 未映子 10:59 PM [詩] | 固定リンク | トラックバック
2005.02.23
思い出は君を流れる
嘘ばっかり書いてて ちょっと疲れてきたので
お風呂上りで風が馬鹿で嘘みたいに強くて
俗なことゆってたら髪が燃えてて
さっきは湯を浴びてたのに
昨日は寒い部屋
暖房も温風も加湿器もしてんのに
全然あったかくならん なかなかあったかくならんかった
体が冷たくなってきて
いつかの君の体と錯覚してまう
正義とは
人が怒ってるときに座ってるかっこええと思ってる椅子
ちからは こっちのもんをあっちに動かすガッツ
向日葵は 夏の口
薔薇は 4月の眼
お母さんは やさしかったなあ
ほいで
君との思い出が したたり落ちてくる
色んなことを色んな風に
いっぱいいっぱい喋ってきたけど
今頃胸がめっさ痛くなるのは
君が 喋らんかったことのほう
君に 喋られへんかった言葉のほう
「疲れ果てたら犬見て癒し」
適当なことばっかし
げらげら笑って ごろごろやった
あの時もこの時もさっきも今も
もう戻ってこやんもんを生きてるなんて
ほいで
みんなも等しくそうやって生きてるなんて
なあなあ
明日は
この世界の何処に
ぷっ。と出てくるん
向日葵は 夏の口
薔薇は 4月の眼
思い出は 飽きもせんと
全員の心を
激しく激しく激しく
激しく激しく激しく激しく
ごうごうゆうて
全員の心を
めっさ長い一回で
流れていってるわ
投稿:by 未映子 09:29 PM [詩] | 固定リンク | トラックバック
2005.02.08
浮気相手になりたい
愛している男の浮気相手になりたい願望が
足の裏から湧き上がり子宮でゆるく分裂しながら心臓で再生
そうして鼻孔に溜まるから
ゆうべは「私」を抱いて欲しくなかったので
この場合の愛するという動詞の内容はそれぞれにお任せするとして
脳の半分に妄想が安住している
体の真ん中にしっかりとした欲望が根を張っている
私の愛するあなたは私が化けたとも知らず
その女に
私にとは少し違った方法で体中にしるしをつけて髪をなで
低い声で女の体と脳を腫れ上げさせるいやらしい言葉を囁くんだろう
ああして
こうして
柔らかく探りながらいつ突き落とすのが一番いいか
あの指
あの膨らみ
湿らせあう頬など
私は全部みたい
私以外に為されることを
私はあなたから他者に向けて発射されるものを全部受けたいので
あなたが眠っているうちに首を絞めてしまいそうです
投稿:by 未映子 12:04 PM [詩] | 固定リンク | トラックバック
2004.10.17
御予約席
青春の真下をただただ懸命にひたすらな情熱だけを握り、せせら笑われようとも同情されようとも打ちのめされてもただただ走ったり歩いたりしながら笑ったり諦めたり最高と最低血を流したり受けさせたり踊り罵り結婚と貝殻潰したら涙がとらっと出たの見たら大好きな君も確かに生きていたからちょっと嬉しくていっぱいやったいつでもほんとに命懸けだったのにふいに道に迷ってしまうんだからなあってほんとは迷ってもなんもなくて判りすぎていることが青空の下何もかもを白く焼いてしまうんだなあ。

















「そら頭はでかいです、世界がすこんと入ります」
「本棚」
「薔薇は生きてる」山川弥千枝
「道徳は復讐である~ニーチェのルサンチマンの哲学~」永井均
「文藝」 2010年5月号
「ドラえもん 5 (藤子・F・不二雄大全集) 」 藤子・F・不二雄
papyrus (パピルス) 2010年2月号
「クロワッサン」2010年1/10号
ミセス 2009年11月号
BRUTUS (ブルータス) 2009年11/1号
劇的クリエイティブ講座
SWITCH 2009 SPECIAL ISSUE「NEW FRONTIER 開拓者たち」
KISHIN:BIJIN BIJIN of THE YEAR 2009
marie claire (マリ・クレール) 9月号
装苑 8月号
FRaU 8月号
群像8月号
新潮7月号
人間失格ではない太宰治 爆笑問題太田光の11オシ
文学2009
ユリイカ2009年4月号
現代詩手帖 2009年1月号
早稲田文学2号
VOGUE NIPPON(ヴォーグ ニッポン) 2009年01月号
ユリイカ 2008年12月号
モンキー ビジネスvol.3.5 ナイン・ストーリーズ号
潮 2008年12月号
VOGUE NIPPON (ヴォーグ ニッポン) 2008年10月号
ラブコト 2008年 9月号
文藝春秋 2008年 9月号
PLANTED(プランテッド)#8
「広告」9月号 特集 ことばエネルギー2
CREA 2008年 9月号
文学界 2008年8月号
新潮 2008年8月号
Rocks 創刊号
yom yom (ヨムヨム) 2008年7月号
「CREA (クレア)」2008年7月号
「papyrus (パピルス) 」2008年6月号
「日経ビジネス Associe (アソシエ)」5/20号
「BRUTUS (ブルータス)」5/15号
「モンキー ビジネス」2008 Spring vol.1
「早稲田文学」 1
「ダ・ヴィンチ」2008年5月号
「M girl」'08春夏版
「ユリイカ」4月号 特集・詩のことば
「CLASSY. (クラッシィ) 」5月号
「papyrus (パピルス) 」2008年4月号
「週刊文春BUSINESS」4/16号
「小説トリッパー」2008年春季号
5px 10px 0px界」4月号
「日経エンタテインメント」4月号
「ニッポンの笑い VOW!!」
「ダ・ヴィンチ」2008年2月号
「広告批評」2008年1月号
「早稲田文学WB」vol.011
「planted」#6
『ダカーポ』最終号
『文學界』12月号
『セオリー』vol.12
『Hanako West』12月号
『Real Design』12月号
『すばる』11号
『WB』vol.10
『en-taxi』vol.19
『アスペクト』
『CREA』10月号
『音楽の詩2』創英社
新潮 9月号
群像 9月号
S-Fマガジン 2007年9月号
アスペクト
<超短編6>
「ユリイカ」特集・石井桃子一〇〇年のおはなし
アスペクト
<早稲田文学>復刊0号
「早稲田文学」vol.7
「VOW POP Vintage!?街のヘンなもの大カタログ」
<文学2007>
「ユリイカ」特集・理想の教科書
「ダ・ヴィンチ」
「ダ・ヴィンチ」
「ユリイカ」
「クイック・ジャパン」
「ダ・ヴィンチ」
「ユリイカ」

