川上未映子

2018.01.15

麦彦、ヘガティー、お花畑も英語んなって

 昨年末に、拙作「ミス・アイスサンドイッチ」が英訳されてイギリスのプーシキンプレスから刊行されました。翻訳は、ノーリッジのワークショップでも楽しい時間を一緒に過ごした、ルイーズ(Louise Heal Kawai)です。

 

Ms Ice Sandwich

 

「ミス・アイスサンドイッチ」は単行本「あこがれ」に収録されている物語の第1章で、「苺ジャムから苺をひけば」が第2章、もちろん両方ともに麦彦&ヘガティーが登場します。で、英訳されるときに「ヘガティーって、なんて訳すのがええんやろな」とみんなで話していたんだけれど、ヘガティーは女の子、思わずしてしまったおならが紅茶の匂いがするという理由で「ヘガティー」というあだ名になったのだけれど、たぶんそしたら「Fartea」になるよねきっと、なんて言ってたらちがった、「Tutti -Frutti」になっていた。ニュアンス的には果物の砂糖づけ? おならはどこいった、おならはどこじゃ……と思っていたら、ルイーズが英訳の意図について、くわしく教えてくれました!

「苺は甘い(お茶のように)ですが、時々すごく嫌なにおいがします。わたしの家の冷蔵庫もよく苺を入れておくとにおいます。なので、もしヘガティーのおならが苺(お茶ではなく)のように変なにおいがしたとしたら、男の子はこんなアイデアを得るかもしれないなと思いました。
「tooting」というのは英語でおならを意味する言葉でもあります。なので「tutti-frutti」(人気のデザートやアイスのフレーバーです)は「tooty fruity」とも聞こえますし、それは嫌なにおいのするフルーツ(もしくは苺ですね、男の子の頭の中では)のようなおならという意味になります。アメリカ人の友人は、彼女が子供の頃、彼女がおならをすると、兄か弟によく「Tooty Fruity」と呼ばれたと言っていました」。

 

 な、なるほど……! 後半の苺ジャムにもつながってゆく美しいイマージュ……ってなわけで、あらためて「Tutti -Frutti」=「ヘガティー」よろしくお願いします!

 

 

 刊行からまだそんなに経っていないのに色々なところでご感想、レビューなどがあがっていて、うれしいです。以下、オフィシャルなものの一部をご紹介いたします。

 

Express紙

 

カルチャー・トリップというロンドンを拠点にするカルチャーサイト​

 

インドのインディペンデントなニュースサイトScroll

 

フィナンシャル・タイムズ紙

 

 

 

あと、アメリカの文芸誌「Freeman’s」に掲載された「お花畑自身」(『愛の夢とか』収録)の英訳「The Flower Graden」のレビューが、パリスレビューに掲載されました。ヘンリー・ジェイムスとの比較も興味深く励みになります。翻訳は由尾瞳さんです。