川上未映子

2015.08.08

新潮9月号『苺ジャムから苺をひけば』

 今日、郵便局に用事があってお昼間、外に出たのだけれどすごかった。まったくの夏のピーク、いくらなんでも、とぶつぶつ言いながらしかし暦のうえではもう夏は過ぎ去って、明日からは秋なのだ。そして新潮に、小説『苺ジャムから苺をひけば』が掲載されました。わーい!

 

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 この小説はちょっとまえ(っていってもずいぶんまえか)に、やはり新潮に掲載されました『ミス・アイスサンドイッチ』の続編で、そこに登場していた女の子、ヘガティーが主人公です。いわゆるスピンオフとでもいうのかしら。でもこっちのほうが『ミス・アイスサンドイッチ』よりもずいぶん長くなって、「こ、こんなうきうきとした気分でいいのだろうか」と何度も自問自答するほど、この二作は書いていて本当に楽しい気持ちだったです。

 『ミス・アイスサンドイッチ』のときは小学4年生だったヘガティーも12歳になって小学校生活最後の季節を過ごしております。前作を書いてから、ことあるごとに、どーも、ヘガティーのことが気になっていて、今回書けてよかったなーと思っております。もちろん『ミス・アイスサンドイッチ』では主人公だった「ぼく」も(彼は麦彦くんというのだった)今回もヘガティーと一緒にあれやこれやと悩んだり走ったりしてちからいっぱい登場します。ぜひ、また彼らに会ってやってくださいませな。どうぞよろしくお願いします。

 で、この二作を書いているとき、ずーっと聴いていたのが、みんな大好き、

  Feist の「1234」でした。

 

 

 あなたは変わってしまう

 本当の自分を知ってるのに

 優しい気持ち つらい思い

 どっちなのかわからない

 心地よさと寒さ

 カートに馬をつないで

 十代のころの希望が泣きそうになってる

 小さな嘘ひとつがとてもこわくて

 1234569 あるいは 10

 あのころの気持ちはお金じゃ買い戻せないよ

 あなたは変わってしまう

 本当の自分を知ってるのに

 あなたは変わってしまう

 本当の自分を知っているのにね

 十代の男の子たち あなたの心を傷つける

 十代の男の子たち

 あなたの心を傷つけるわ

 

 ヘガティーと麦たちがやがて迎える季節だなあ。

 『苺ジャムから苺をひけば』、楽しんでもらえたら、とてもとてもうれしいです(『ミス・アイスサンドイッチ』もよろしくね)。