川上未映子

2014.05.30

熱につぐ熱

 これを書いているいまはれっきとした金曜日のはずなのだけれど、この一週間の記憶がほとんどない、というのも、この月曜日から昨日まで息子がアッツアツの高熱を出していたためで、朝も昼も夜も看病の連続だ。薬の効きのあれこれをしっかりやるために一週間に4回も通院することになり、わたしの仕事の大部分は麻痺して現在に至るというわけです。

 2歳になってさすがに高熱といえども少しは慣れた、というのはあるけれど、しかし39°〜40°の熱を数日にわたって出されると、このままどうにかなるんじゃないかとなんだかまったく落ち着かない。体の調子をまだ言語化できないのでお互いというかわたしが一方的にもどかしく、そういえば去年の今ごろ、6月は、保育園に通いはじめたばかりのためか、毎週熱をだしていて、そのたびに大人ふたりに感染し、二ヶ月がまるまるものすごくしんどかったことを思いだす。
 
 息子も去年よりは強くなった感じはするけれど、これから夏にむけて、アデノウイルス、手足口病、ヘルパンギーナ、などなど、病気目白押しのシーズンだ。世界にはこんなにもカジュアルに感染するウイルスがこんなにも存在するなんてこと、息子を生むまで知らなかった。ひとりが感染するとみんなに感染り、わたしが倒れ、家人も寝こみ、そして息子が高熱を出したりしたら、ここはいったいどうなってしまうんだろう。どうすればいいのだろう。去年の今ごろはそんな状態になってしまって、心細くて、息子からうつった病気の熱にうかされながらそのおそろしさに震えたけれど今年もそんなのをくりかえすのだろうか。きっとくりかえすのだろうなあ、なんてったって、そんなシーズン、子どもは病気して強くなって(大人は病気して疲れ果てて)ゆくものだもの。
 
 とにもかくにも連載以外の仕事はストップ。何もかもの予定がずれる初夏。