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2004.05.14

失われた保健室のドア

電話切って、ちゃいちゃいっと掃除してたら、
腰のあたりがすごく痛くて、
あ、これ、もしや腎盂炎が再発、などというまっとうな発想のもと、
そうなれば早速なべたんに連絡して、今日はそちらには行きませんのであしからず、
今日は明日の京都に備え、これから病院へ行ってきますと伝えたのが3時。

病院はなんか暇で、でも待たされて、今日は急だったのでいつもの先生はいなくてまったく知らぬ先生。わたしが関西出身だとわかるとなんとなく関西弁を使ってきた。さあーてどないしようかいなあとかゆう。ほんの少し苛苛してわたし、こうこうこうで、腰が痛いんですけど、これが入院する前の痛みに非常によく似てるので熱が出たり寝込んだりするまえに何とかして頂きたい、というと、んーああ、じゃ検査しとく?いちおー。みたいな。なんだそれ。なんかちょっとまた苛苛して、だいじょーぶだと思うけどお?どおすんの検査するう?みたいになって、いや、もちろん検査はやってくれっつって、血とおしっこ採って、待つこと50分。ベッドで寝てた。看護婦さんたちの陰口も聞きつつ、平和やのおって感じでカーテンも揺らぎ。病院も落ち着くいい場所になってきた。

昼下がり非常にいい天気で、人も少なくって、学生の頃にさ、眠たくて仕方なくてお腹痛いんーっつってよく保健室に行って寝てたのそのまんまで、チャイムはもちろん鳴らんけれど。あれから何年も時間は経って、しかし今でもどこぞの学校では同じようにチャイムは鳴って、保健室もあってベッドもあるやろうから、そしたら何が変わったかっていうと、それはもう疑いようもなくこちら側、つまりはわたしが変化したわけで、対象は何ら変化していないのである。諸行無常の正体は常にわたしにあり。
世界中の何処を探したところで、もはやひとつの保健室のドアもわたしには開かれてはおらず、つかの間の午睡に、なんだかぼやけた白い気持ちになったんでした。

ほいで検査結果は、その先生のノタマッタとおりまったく問題なく、
それみたことかこの大げさ女、みたいな視線もちくりと受けつつ、
いやあじゃあこの腰の痛いのはいったい何でっしゃろうかってこっちも意味わからん大阪弁で、痛い痛いゆうてもそんなたいしたことない思いますけどーってゆわれて、熱でたら抗生物質飲んだらよろしいやんかとも云われ、そんな腎盂炎なんて別段大した病気でなし(あなた大げさ)、習慣性もあるっちゅうわけでもなし(気にしすぎ)、あなたあれなんじゃないの、仕事しすぎなんじゃあないのおって余計な一言まで噛まされ、わたしとてまあ数字に問題なければしゃあないわなということで、ほしたら有難うございましたっつって出ようとしたらこの先生がわたしの会計票やらなんやら持ってきた看護婦さんを叱りつけるというか怒鳴りつけるシーンに。

大きい声を、わたしは憎む。突発的に出す威嚇系の音をわたしは心から憎む。

なんで大の大人の男が何があったか知らんけれども女子に対してあないに大きい声を出すか。しかもここは病院であるのよ。しかもどうせ大したことではあるまい。それであんな声をよう出すなしかし。恥ずかしないんか。男だって人間である、むろん感情的になることもあり、女子供に対し大声を出すこともある。なんて本気で云う男は今すぐ樹海へ行け。足摺岬から飛べ。女子に暴力を振るう男に至っては、至っては、至っては、○○○○をまるごと万力で圧し潰し、皮を○○、大阪湾に○○。もしくは大型電子レンジで○までチン。それにしてもあの医者よ、大声でしかも人前で女子に怒鳴る、ああいう男はなんというか、今すぐぬか床に葬り去られるべきである。わたしは手前にあったカルテのボードでその駄目医者の頭をお前はこりゃあとはたいたろかと思ったけれど、一瞬なべちゃんの顔が浮かび、しゃしゃるのをやめた。しかもわたしは部外者であった。

帰りお金払うの待ってたら、なにやら男性と受付女子がもめてて、
その男がすごい馬鹿にした口調で女子を罵ってるんよ。今日はいったいなんなの。それも完全にお前呼ばわりなわけよ。傍から聞いてたら、へっ、マジで?みたいな口調よ。
まったく話が通じてない模様。何人かの看護婦、受付女子がきて相手を代わるんですけど、座ってお待ち下さいといわれても受付にかぶりつきなわけで。がっしり圧力。指とかかつかつやっててさ。そしたらさ、
最初に対応してた女子の顔がすんごいすんごい引きつってくるのをわたし、彼女からどうしても目を逸らせなくて、もうそれはそれはちょっと涙目になってて、滲んでて、悔しいのな、唇のはしとかぴくぴくなってるんよ。
そしてその女子の、只今受けている、あるいは発生している巨大なストレスが、まるくぽかんとわたしにまで見えて、なんか口からモヤみたいなんが出てきたんちゃうのんっていうくらいにほんとにもう、鼻もぴくぴくしてぷるぷるよ、心中の噴火はいかばかりのことでござるかと思うと、なんか3メートルこっち側のわたしのお腹がなんでか痛くなって、誰かあの親父の口を、誰か縫うか、縛るか、とにかく止めて、みたいな、いたた、いたたで辛いなあ。社会人はもう。

病院、とか区役所、とか、そういうとこでは人は何故か態度がでかくなりがちなもので、
それもいかがなものか。なんかさ、そういう盲信なとこって絶対あるよね。なんやろうなあこの状況限定特権意識。その男性すごいひどい言い方してたもんなあ。あの女子の眉間。視線。思い出しても辛かった。ぐっと堪えてたけれど、ほんとに今日はご苦労様どした。

検査結果はどうでした、となべたんからの電話。たいしたことないっす、っていうと、
非常に安心した様子。ゆっくり休んで下さいやって。ふふふ。

洗濯物も乾いたでしょうから、今から取り込み開始。もう夜だわ。
おなかは減ったけど減ってない。腰もだるいだけなんかも。いや、確かに痛かったから病院に行ったんですけども。

わたしはもう今生で、
3時間目から4時間目を、保健室であのうすい布にくるまり、うきうきしてゆるく、
あんな風に眠ることはないのかなあ。
それってやっぱり、普通に考えて、ない。

投稿:by 未映子 01:00 AM [心と体] | 固定リンク

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純粋悲性批判